ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2006年03月02日
 だいたいのところ世界はクソだという耐えがたさに耐えながら生きている。じゃあ、お前さんはどうしたいんだ? という問いに対して、速攻で、明確に明快な回答を返せないのが、おおいに不本意だ。そんな風に考えたときに、キーチやっぱすげえな、ってなるよ。というわけで、燃え、かつ盛り上がり過多な新井英樹『キーチ!!』の8巻である。ついに計画は決行された。〈俺がすることをジャマするなら、お前ら警察も法律も、敵だ!! 俺の目に入らないように消え失せろ〉。国会議事堂前、ワンボックス車に籠城したふたりの小学生、輝一と甲斐は、「バレなきゃOK」のルールで生きる次期首相候補の罪を、白日のもとに曝す。マスメディアさえ見事に使いこなした甲斐の戦略は、輝一の主張を世のなかへ向け大々的にアピールし、ブラウン管の前で大人たちは、ただただ右往左往するばかりであった。ごく少数人によるテロリズムということであれば、同作者による『THE WORLD IS MINE』のヴァリエーション的な展開に見えなくもないが、しかし僕はといえば、こちらのほうを買うな、という感じである。というのは、以前にも書いた気がするけれど、僕という読み手は『キーチ!!』それから『SUGAR』以前の新井英樹というマンガ家に対しての評価はあまり高くない、むしろ低いというのもあるが、ここでは、とにかくカタルシスへ向かう直線的な動きが、物語を推進させる、そういうキーとなっているからである。もちろん、それは作者のテクニカルな操作ゆえに、なのかもしれないが、すくなくともフィクションが現実を穿つ、そのための効果的な作用を発揮している。言い換えるのであれば、七面倒くさい御託を抜きにしたエンターテイメントでありながらも、いや、狂おしいほどのエンターテイメントに終始しているからこそ、読み手の心を大きく動かすんだろ、というわけである。

 7巻についての文章→こちら
posted by もりた | Comment(0) | TrackBack(0) | マンガ(06年)
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

この記事へのトラックバック