ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2006年02月26日
 多重人格探偵サイコ (11)

 章タイトルが「デッドマンズ・ギャラクシー・デイズ」で、登場人物のひとりが〈世界の終わり・・・その先にある果て それを見てみたい・・・〉などといえば、これはもうミッシェルガン・エレファントなわけだが、そういったインプットは、もちろん大塚英志ではなくて、田島昭宇の側によるものだろう。だが、世界の終わり、といったファクター自体はといえば、たぶん大塚が用意したものなんじゃないかな、とは思う。ルーシー・モノストーンあるいは℃の造型は、まるでロック・スターのようだが、その原型は、おそらく岡田有希子である。さて。この11巻では、ひさびさに当初の主人公であった人物が活躍している。とはいえ、彼が生き返ったわけではない。大塚はどこかで、彼がけっして生き返らないことを断言している。つまり、西園伸二であり、小林洋介であり、そして雨宮一彦であるところの彼が、まだ生きていた頃に、時間は遡っている。物語の進行自体に大きな発展はないけれども、しかし、謎解きといった部分を取り出せば、なかなかに重要な進展がもたらされているといえる。この『多重人格探偵サイコ』が、興味深いのはやはり、ふたつに引き裂かれた主体という、近代小説ふうの重大な関心事を採用しながらも、大きな物語という枠組みのなかで、それらが、たあいもなく、死を迎える、ということである。そうしたつくりにおいて、主題はどこに宿るのか。オブセッションに苛まれる少年に向かい、西園伸二は〈こっから先はお前自身の問題だ〉と言った。

 10巻について→こちら
posted by もりた | Comment(0) | TrackBack(0) | マンガ(06年)
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