ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2010年01月01日
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 驚いた。FiVeってこんなに良いバンドだったのか。たしかに、これまで他のグループのバックをつとめているのを見、演奏技術がなかなかに達者であることは認識できていたのだが、バンド自体のパフォーマンスはそうした印象をもさらに上回るほど、堂々として立派なものであったから、さすがにおどろく。

 大晦日、つまり2009年の12月31日から2010年の1月1日にかけ、東京ドームで『ジャニーズカウントダウン2009-2010吠えろ!ジャニーズ虎の巻東西ドーム10万人集結!!超豪華年越し生歌合戦』を楽しんだあと、その足でJCBホールに向かい、ジャニーズJr.のなかでもロック・バンドの形式で活動しているQuestion?とFiVeの、2ユニットによる合同ライヴ『Rockな仲間たち2010 初日の出LIVE』を観たのだったが、いやいや、これが思いのほか、とくにFiVeのステージは予想以上の案配だったのである。

 開演前の会場にU2がBGMで延々鳴り続けている。このときはかなりの夜更けということもあって、少々怠かった。うとうとしかけていたのだけれども、暗転、大きな歓声があがり、まずは急遽ゲストとして参加の決まった内博貴が、Question?とFiVeを従えて、演奏を開始すると、一気にテンションが高まる。ほとんど全員が、そこらのライヴ・ハウスにいそう、ラフな格好であったのには、ジャニーズのコンサートにいるんだぞ、というつもりの意識を切断されたが、しかし2バンド分の演奏の厚み、そして内の意外と太い発声が、まさしくロックがロックしロックする興奮の最中にいるような、そういうモードにこちらの気分を切り替える。髪を切り、黒くした内のルックスの、その麗しさは、Tシャツにジーンズの姿であっても、一線級のアイドルであるカリズマをまったく隠せないが、やはり、音、バックの音の分厚さが、すべての勢いに拍車をかけていたろう。

 抜群の出足、勢いがついたなか、内とFiVeがさがると、いよいよQuestion?が単独演奏に入る。メンバー・チェンジがあった以前のQuestion?のサウンドがいかなるものであったか、寡聞にして知らないのだけれども、基本的にはアイドルのニュアンスを残したポップ・ソングにバンド仕様のアレンジを施したタイプの楽曲を、次々に披露してゆく。ヴォーカルも固定されているわけではなく、メンバーが持ち回りしながら、各人の個性をアピールするといった感じ。ギターの伊郷アクンとヴァイオリンを弾く後藤泰観の、ぴょんぴょん跳ねるエネルギッシュさが、ひじょうに印象的だ。音の面でいえば、後藤のヴァイオリン、それから石垣大祐の様式美なハード・ロック調のキーボードによって織りなされるコントラストに、はっとさせられる瞬間があるものの、それが必ずしも決定打にはなってはいない、ぎりぎりのラインで揺らいでしまうのを残念に思う。ドラムの淀川由浩とベースの藤家和依のリズム隊は、ルックスの甘さからはうかがい知れぬぐらいにハードなアタックを繰り返し、重心の定かなスウィングをつくりあげるが、楽曲の向こうにひらけているヴィジョンに、何かあと一つ、物足りなさを感じられてしまった。

 対して、次に出てきたFiVeである。これが最初にも述べたとおり、侮りがたし、アイドルもしくはジャニーズという看板を完全に括弧にくくってしまうまでのインパクトを有していた。こういう喩えが適切かどうかは不明だけれども、それこそフジ・ロックやサマー・ソニックのサブ・ステージの午前中ならば、余裕で通用するレベルに達している。ギターとヴォーカルを担当する中江川力也、ベースの上里亮太、ドラムの牧野紘二、そしてQuestion?とキーボードを兼ねる石垣の四人編成であるが、特筆すべきは、何といっても中江川の存在感、それからバックを支える牧野の安定感だろう。体に丸みがあり、いっけん華のない顔立ちしている中江川が、しかしフロントに立ち、ギターを弾き、ヴォーカルをとる、その瞬間に生まれるオーラは完全に、ミュージシャンの、アーティストのそれ。サウンドは、グランジとミクスチャーとエモを通過した今様の、邦楽のハード・ロックであって、しばしばRADWIMPSからひねりと工夫を抜いたふうになってしまうところや、それも含めて紋切り型な語彙で若者と社会の不条理を日本語に委ねてしまう屈託のなさ、英語詞のナンバーにおける発音のあやしさ等々、細かい部分に欠点は挙げられるものの、ぶれのなさ、総体的なパフォーマンスの高さはマイナスの要素を補って余りある。牧野のドラムがひじょうにパワフルなのもあって、中江川のギターが激しくひずむとき、重低音のグルーヴはとても甘美に、会場の全体を包み、芯のまっすぐなエモーションを描く。すくなくとも演奏の状態は、アイドルのジャンルにとどまるものではないし、インディのレベルを脱している。むしろさまざまな批評にさらされながら、つよくタフに個性を鍛え上げられていって欲しい価値の、十分にあるバンドだと思った。

 その後、内をヴォーカルに迎えたQuestion?のステージが続き、次いで全員が揃って大団円の饗宴が繰り広げられ、3時間に近いショウの全編、どこをとっても決して悪くはない、たいへん楽しんだのだったが、兎にも角にも、ああ、FiVeってこんなに良いバンドだったのか、という感想に尽きる。新年早々、胸がいっぱいに、熱く。


posted by もりた | Comment(0) | TrackBack(0) | 音楽(2010年)
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