ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2009年12月13日
 17(じゅうなな) 4 (講談社コミックスフレンド)

 桜井まちこの『17[じゅうなな]』もいよいよクライマックスが迫っているからか、この4巻でどっとエモーショナルな展開を見せている。いつだってやさしかった恵に惹かれる詩歌、過去の傷を引きずるあまりそれを拒む恵、二人の心がようやくずっと近く寄り添うのである。告白のシーンで、大きなコマのカットを用いて恵の表情を繋ぎながら、詩歌が〈今の 自分に傷ついているからこそ 人に優しくなろうとしていた恵に 全部 全部 飛び越えるぐらいの相手が 見つかるといい 早く 全部 飛び越えるぐらいの相手が その相手になりたかった けど もう十分 がんばって がんばって 恵〉と願う場面、そうしたところによくあらわれている鮮やかなインパクトは、この作者ならではのものだろう。たしかに、ミニマムな関係のなかでの惚れた腫れたを誇張せずに引き延ばしたかのようなストーリーは、ややざっくばらんでありすぎるけれども、作中人物たちの顔つき、とくに眼と唇の、大胆であると同時に繊細なタッチが、彼らの内面をたっぷり表現していることで、作品の説得力がぐんと高まっているのは、やはり、特筆すべき点だと思う。多少作家論的に考えるのであれば、初期の、テレビ・ドラマのコミカライズであった『to Heart 恋して死にたい』や、あるいは『ハニィ』のような、ピュアなヒロインの情熱が、坊っちゃんの抱えた屈託を照射し、ふたたび笑顔の持てることを確認させる、といった(じつに少女マンガらしい)図式を『17』は採用しているが、以前に比べ、絵柄や描写はずいぶんと大人びており、そこにある種の技法的な詮索が示されている。ただし、現在の作風ならもっと年齢層の高い物語のほうが合うのでは、というのは、過去にも述べたとおり。他方、近作の『H-エイチ-』では、河川と青空の風景が心象をフォローしていたのに対し、『17』の今巻のくだりでは、海面と夜空の風景がドラマの見栄えを深めていて、作品自体が持つカラーの違いを顕著にしている。

 2巻について→こちら
 1巻について→こちら

・その他桜井まちこに関する文章
 『minima!』
  2巻について→こちら
  1巻について→こちら
 『H-ラブトーク-』について→こちら
 『H-エイチ-』
  6巻について→こちら
  3巻について→こちら
posted by もりた | Comment(0) | TrackBack(0) | マンガ(09年)
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