ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2009年12月12日
 彼はトモダチ 6 (講談社コミックスフレンド B)

 どうしても手に入れたい人がいるし、何をしても手放したくない人がいる。そりゃあ本性を剥き出しにするほど真剣に特定の誰かを欲するのであれば、どろどろの恋愛劇にもなろうよ。吉岡李々子『彼はトモダチ』の話である。5巻から、そしてこの6巻にかけ、主要な作中人物たち四人は、醜いまでの葛藤に振り回され、ずぶずぶ泥沼の関係に足を踏み入れてゆく。まあ、当初より爽やかさとはすこし距離を置いたマンガではあったが、ヒロインの身に突然降りかかる自業自得(自業自得という言い方は少々厳しいかな、しかし客観的にみるならやはりそうなるだろう)を一つの転回とし、過剰にメロドラマティックなストーリーへと振り切れるのだった。佐々本に対する想いを断ち切ろうとするヒヨリ、ヒヨリを諦めきれない佐々本、佐々本を独占しようとする琴音、ヒヨリに対する想いに固執する水野、それらの点と点とが、もつれて絡み合った線と線とで、結ばれる。とりあえず水野、水野よお、おまえ、ヒヨリに向けた初期のアプローチからして、もしかしたら駄目な子なんじゃねえか、と思っていたのだったが、ここにきてまた男を下げたな。その、度量の試される場面で〈…それって オレの子供なの…?〉ってもう、やりとり自体がすでに紋切り型であるけれども、いちばんだらしないリアクションを返しやがった。ほんとうに残念な野郎だ。たしかに、不用意な性交渉を含め、それが若年層のリアリティなのだといえば、そうなのかもしれない。が、おかげで佐々本の、ピュアラブルな献身性の際立つかっこうになっていることが、彼を選ばなかった(選べなかった)ヒヨリの気分を真っ逆さまに落下させる。〈…もう いいんじゃないかな……後悔も反省もたくさんしたんだろ? それならきっと藤咲はダメ じゃないし ダメならダメで それでもいいよ なにがあっても オレは藤咲の味方だから〉と、佐々本はやさしい言葉をかける。けれど、もはやそれすら受け入れることができないぐらいにヒヨリ(藤咲)は傷ついてしまっている。〈今さら なんなのよ…っ 佐々本が別れようって言ったんじゃん(略)あたしは…っ 別れたくなかったのに 公園にも来なかったクセに 会えばハンパにやさしくして! 佐々本は満足かもしれないけど 残酷なのよ!〉。これはおそらく、今までのなかでもっともヒヨリが、自分の心情を、他人に激しくあらわした箇所だろう。すべては壊れてしまった。いっさい取り返しのつかないことが、ずぶずぶ泥沼の関係にはまった足を引っ張りあげられないことだけが、彼女の本性を剥き出しにさせているのである。はたして、誤りの道順を滑りながら前のめるヒヨリたちの恋愛は、どのような答えに行き着くのか。完結編となる次巻が待たれる。

 4巻について→こちら
 3巻について→こちら
 1巻について→こちら

 『99%カカオ』について→こちら
posted by もりた | Comment(0) | TrackBack(0) | マンガ(09年)
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