ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2009年12月09日
 なにわ友あれ 10 (ヤングマガジンコミックス)

 いっときは欲望のために道を踏み外しそうになり、たんなるゲス野郎に成り下がったパンダであったが、しかし、ここで描かれているエピソードに関しては、おまえに心から同情しよう、あるいはひどく共感さえしよう。圧倒的な絶望のなか、酒の力を借りられずには越えられない夜もあったな。あった。たしかにあった。南勝久の『なにわ友あれ』10巻である。前作『ナニワトモアレ』でも、主人公であるグっさんの、走り屋としての大成とはべつに、恋愛の敗北が強烈なインパクトをつくり出していたが、まあパンダの場合、それに比べて傷は浅く、ありふれてはいるものの、いやだからこそ、必ずしも常勝の道を辿れるわけではない青春のリアリティが、よく出ている。親友であるテツの恋人、ナッちゃんに想いを寄せるパンダは、二人がとうとうスケベなことをするのだと知った晩、居ても立ってもいられなくなり、友人のタカを呼び出し、ひたすらアルコールをかっ食らい、つらい気分を忘れようとするのだけれども、それで何かが変わることは、もちろん、ないのだった。とにかく、パンダの血走った眼が、笑える。さらには、彼の傷口に塩を塗りたくるタカの所業も、笑える。笑えるのに、どうしてこんなにもパンダの気持ちが理解できてしまうのだろう。それはね、パンダがタカに〈おまえがつまらん男やから テツに持っていかれるねん――ッ!!〉と言われてしまうのに等しく、読み手の自分も詰まらんし、冴えないし、もてない男だからなんだよ。やがて、アパートに帰ってきたテツを前に〈こいつ‥‥ナッちゃんとヤッたのかッ…!!? ヤリやがったのか〜〜!!? 知りたい‥‥真実を知りたい‥‥!! ナッちゃんとヤッたのか‥‥ヤッてないのか‥‥!!?〉と勘繰りながら、探りを入れるパンダの卑屈さがもう、まったくの他人事とは思われまい。〈ちょっと堅い女でな――…ヤれんかった‥‥‥‥〉というテツの言葉に、〈そらそうや! ナッちゃんがおまえなんかと!! おまえなんかとォ〜〜〜〜!!!〉と内心喜ぶパンダの表情を見よ。そして〈ま――でも‥‥口でしてもらった――2回――!!〉と続けるテツに、〈あの天使の唇が――‥‥こんなテツクズのチンコを〜〜〜〜!? しかも2回〜〜〜〜!!?〉と衝撃を受けるパンダの表情を見よ。うんうん、おまえはいま泣いていい。以上、本筋とは基本的に関わりのない話であった。

 9巻について→こちら
 8巻について→こちら
 7巻について→こちら
 5巻について→こちら
 4巻について→こちら
 1巻について→こちら 
posted by もりた | Comment(0) | TrackBack(0) | マンガ(09年)
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