ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2004年12月19日
 文庫。こういうわけで読みたかったのは『空の中』だったのだけれど、近所のどこの本屋にも売ってなく、アマゾンさんに注文したら今年中には届きそうもなかったので、同じ作者のデビュー作を先に読むことにした。

 ある日、危機的な状況が人類を襲う。人が突如として塩の塊に変質してしまう、塩害という現象の発生である。世界中の人口がじょじょに減少してゆくなか、ある平凡な女子高生真奈は、偶然出会った秋庭という年上の男の世話のもと、日常をなんとか守りながら生きている。だがその生活は、ふたりの静かな関係は、やがて世界の存亡に関わる激しい流転のなかへと放り込まれる運命にあった。

 正直なところ、なぜ秋庭と真奈がそれまで塩害の被害に遭わなかったのか、その説明に、僕なんかは説得されきれないところがあるけれども、そのことを差し引いても、おもしろく読めた。

 作品のテーマは、作者があまりにも解説しすぎる「あとがき」のなかでいっているとおり、世界が大事か自分と自分の愛する人が大事か、というようなことである。ただそれは同時に、愛する人のために死ねるか、という問題を内包している。それに対しては、ギリギリのところで答えているけれども、では愛する人のために死ぬのはほんとうは誰のためか、というところまでは踏み込んでいけてない感じがして、そこだけが勿体ない。

 「あとがき」を読む限りでは、それも自分のため、というのが作者の答えであるようだが、作中では、男と女の考え方の違いみたいなところでボカされている。まあそれで良しとするかどうかは、読み手の好みの問題か。あとイラストがどうも内容とマッチしていない気がする。が、それも好みの問題かもしれない。


posted by もりた | Comment(0) | TrackBack(0) | 読書。
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