ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2009年11月06日
 少年マンガなのだろう雑誌にまるっきりの少女マンガを発表するという取り組みは、結果的に作品の内容をライトにしてしまった、というわけではなかろうが(いや多少はあるのかもしれないが)、この4巻で完結させられた神尾葉子の『まつりスペシャル』は、前作の『キャットストリート』が背景に重たいものを用意していたのと比べ、ひじょうにまっすぐなラヴ・コメディとしての色合いをつよくしている。女子高生プロレスラーとして家業を手伝うヒロインが、クラスメイトや憧れの男子に正体を知られまいとし、奮闘、事情を汲んだボーイフレンドとの信頼を深めてゆくのである。ここから先は結末を書いてしまうことになるけれども、主人公のまつりが片想いを抱くイケメンさん、諸角が、おそらくは大方が予想していたとおり、噛ませ犬以上の役割を与えられなかったのは、すこし物足りない気がしてしまうものの、そうした展開自体がある意味、プロレス的だというふうにいえる。要するに、少女マンガにおける様式美の世界をまっとうしたのだと見て取ってもよいような。もちろん、まつりが最終的に採った選択、すなわち、王子様の燦然とした虚像に近づいてみせることではなく、身近で二度は得難いパートナーシップに自らを委ねたことは、これまで少女マンガの文脈でさんざん試されてきたテーマのいちヴァリエーションであって、そういう、コミュニケーションの繰り返しが関係性をつくる、式の小さな物語が、自然と大きなうねりのエモーションを有していることに、かの領域ならではの特性を意識させられたりもするのだが、話を戻せば、諸角の扱いも含め、プロットはいささか単純化されすぎのきらいがあり、結果、ライトだという感想を持つに至った。

 2巻について→こちら
 1巻について→こちら
 
・その他神尾葉子に関する文章
 『花より男子』37巻について→こちら
 『キャットストリート』
  8巻について→こちら
  6巻について→こちら
  5巻について→こちら
  4巻について→こちら
  3巻について→こちら
  1、2巻について→こちら
posted by もりた | Comment(0) | TrackBack(0) | マンガ(09年)
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