ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2009年10月14日
 銀座タンポポ保育園 (Be・Loveコミックス)

 たとえば、キャバクラ嬢などの繁華街で深夜に働く人びとを題材化したコミックはもちろん、繁華街で深夜に働く人びとの子供を預かる施設を舞台にしたコミックも、いまや決して珍しいものではない。そこで(かどうかは本当のところ知らないが)、くりた陸の『銀座タンポポ保育園』は、いくつかのパターンをミックスした。〈ここは 銀座のビルの一室を借りて営業している 24時間の保育園 昼はOLさんやデパートの店員さん 夜はクラブで働く女性たち(男性も)が子供を預けていく〉という「銀座タンポポ保育園」を中心に、保育士、子供たち、親たちが、それぞれの問題を抱えながら、さまざまなドラマを織り成してゆくのである。基本的には、一話完結型のエピソードでつくられたマンガなので、まず何かしらのトラブルが起き、やがて解決への道のりを辿るという手順を踏み、だいたいのストーリーは構成されている。そのとき、保育園の内部と外部の世界とを仲介し、なおかつすべてを丸く収める役割を与えられているのが、現在はその素性を隠して「銀座タンポポ保育園」の経営者となっているが、かつては伝説のキャバクラ嬢とまで呼ばれた蘭子の機智であって、彼女の活躍により、本来ならいくらでも悲愴になりそうな局面が、ハッピー・エンドに従うかたちへと、洗い直されている。そのため、現実的な措置としては多少甘いんじゃないかと思わせられる決着もすくなくはない。4話目の、元プロ野球選手の父親が再出発を誓うくだりなどは、むしろ、夢を諦めなければならない人間を肯定的に描いてくれたほうが、いっけんシビアに見えるかもしれないけれど、うつくしかったし、感動的であっただろう。とはいえ、これまでにも児童の視線を大切にしたマンガを何個も手がけてきた作者だけに、家族間のコミュニケーションをずぼらにしない配慮はよく行き届いていて、読み、しばしば考えさせられる。

・その他くりた陸に関する文章
 3巻について→こちら
 2巻について→こちら
 1巻について→こちら

 『オレの子ですか?』5巻について→こちら
posted by もりた | Comment(0) | TrackBack(0) | マンガ(09年)
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