ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2006年02月07日
 総務部総務課山口六平太プレミアムセレクション 2 (2)

 僕はといえば、『総務部総務課 山口六平太』を熱心に読んだときはないのだけれども、この『プレミアムセレクション』の1巻「怒濤の平成幕開け編‘86〜‘90」を読んでみたら、けっこう楽しめたのに、おどろいた。それと同時に、かなり生活慣習的なものを一話完結のストーリー中に盛り込んであるため、当時を追体験できるように読めるというのも、新しい発見であったし、また『プレミアムセレクション』には、そういう時代を振り返った資料が付いていたりするので便利だ。さて。2巻「白熱のJ 激動の政権交代編‘91〜‘95」である。これが、前巻に比べると、話の内容自体は、あまり世相に関わっていない。しかし、巻末にはなぜか、柴門ふみが『東京ラブストーリー』と90年代について語っているインタビューが載っていて、わりと興味深いことを喋っている。いや、もちろんマンガのほうも、おもしろいです。たぶん六平太の飄々とした軽さというのは、80年代的なものを反映しつつも、かといって軟派にはならず、硬派であるかのような一本筋のとおった信頼性をキープしてある造型なのだと思う。こういった主人公(サラリーマン描写)の生まれた背景は、じつは『静かなるドン』や『美味しんぼ』あたりと共通しているものなんじゃないかしら。そして、それはおそらく『島耕作』なんかを支えている感覚とは違う、じゃあ何が違うのか。といえば、たとえば柴門ふみ(弘兼憲史の奥さんです)がインタビューで次のようにいっている。〈私は「自分は傷つくけども汚れない」という人は好きです。でも、そういう人というのは出世しないんでしょうね(笑)〉。これはある種のアイロニーだろうか、島耕作流の出世してゆくことを優先させる忙しなさというのは、いわば60年代から70年代にかけての高度経済成長に根差したものではないかという気がする。つまり作者のというよりは、どちらかといえば登場人物の、読者層に合わせた、年代的な指向の違い、そこいらへんがきっと、山口六平太と島耕作とを大きく隔てているのであろう。
posted by もりた | Comment(0) | TrackBack(0) | マンガ(06年)
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