ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2006年01月31日
 本格的に料理人を目指すことにした主人公の伴は、福岡の大学を辞め、恋人とも別れ、東京で一人暮らしをはじめることにしたのだった。しかし六本木バッカナーレに正社員として雇われた彼は、厨房ではなくて、ホールに回されてしまう。というわけで、サーラ(ホール)編突入の3巻目、まあ総体的な物語としては必要なパートであるのかもしれないが、個人的にはちょいとビミョーな展開であるな、これは、と思う。というのも、接客業務って表現にしたら落としどころが際どかったりする。それは、ホストやホステスつまり水商売系のマンガにあたれば明らかなように、人格の在り方とサービスに関する技術とのバランスの取り方になってくるからだ。すこし言い換えるならばサービスを、精神論込みのものとするか、精神論を分断したものにするかによって、方向性が大きく変わってくる。伴の指導にあたる先輩の態度からするに、作者はその中間項を狙っているようだが、それは、まさに現実的な着地点だとしても、魅せる表現として落ち着かせるにしたら、なかなか難儀なことであろう。また、この『バンビーノ』の場合、これまでの調理パートにおいては、精神が肉体を凌駕するみたいな点に、燃えるポイントがあったわけだけれども、それはある意味で、ディシプリンが個人という枠内に限定されていたからこそ可能であった。しかし、接客業務に転じるとなると、スキルは当人の領域のみで鍛え上げられるのではなくて、否応なく第三者との関わりのなかで育まれなければならなくなる。そのような状況が要請してくるものは、1、2巻のうちにダイナミズムを生じさせていたものとは、べつのベクトルなのではないだろうか。それとじつはこのマンガ、画のスピード感に反して、物語内の時間進行がけっこうスローなので、キッチンのシーンにはあったような、一瞬で目を引く派手さがないと、伴の万年ルーキーぶりが余計に目立って仕方がない。

 2巻について→こちら
 1巻について→こちら
posted by もりた | Comment(0) | TrackBack(0) | マンガ(06年)
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