ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2009年07月26日
 前作の『学校のおじかん』もそうだったが、田島みみ、スタートのダッシュはいいんだよね。深く考える必要もなしに、わくわくさせられるものがある。唯一の肉親である祖父を喪い、まったく身寄りをなくしてしまったはずのヒロイン、菜花には、じつは母親違いの兄がいた。その兄を頼り、上京、教えられた住所を訪ねてみたはいいけれど、そこで顔を合わせたメガネのイケメンさん、桐谷蒼は、彼女のことなど知らないと言う。あまりにも素っ気ない態度に驚き、あらためて機会をうががおうとする菜花であったが、公園で一息ついているとき、不良少年たちにからまれてしまう。はたして、ピンチを助けてくれたピアスのイケメンさんは、自分を桐谷紅と名乗る。蒼と紅、彼らは血の繋がらない兄弟であり、つまり、もしも菜花の兄がほんとうにいるとすれば、二人のうちの片方のみがそうだということである。しかし桐谷家の父母が不在のため確認がとれず、蒼と紅からも拒否された菜花は、せめて〈他人かどうかわかるまで この家に置いてください〉と必死に願い出るよりほかなかった。この1巻の滑り出しから『君じゃなきゃダメなんだ。』のストーリーを述べると、以上のようになる。もちろんこれは、紋切り型といって構わないほどによく見られる設定の、ちゃんぽんにすぎない。そうして、菜花、蒼、紅、の三者による共同生活と学園生活が、近親相姦や三角関係の上澄みをすくいながら、正しくなし崩し的に幕開いていくわけだ。定石に従い、利己心がつよく意地の悪そうな美人さんも登場してくるし、ね。だが、最初にもいったとおり、これがわくわくさせられる。基本的に、少女マンガのコードに忠実なイベントやリアクションが、ぽんぽん、テンポよく起こるので、余計な躓きを得ることもなく、読み、受け入れることができるからだろう。だが、この作者の弱点は、本質的にそれ以上のものを描けないことにある。おそらく、話が進んでいけば、作中人物同士の関係性を、その上澄み、要するに状況説明だけではやっていけない局面が出てくる。するとたちまちテンポが悪くなり、わざわざ、といった感じのイベントやリアクションの繰り返しに終始したせい、怠くなってしてしまったのが、『学校のおじかん』だったのだけれど、さて、そのような困難を『君じゃなきゃダメなんだ。』はクリアーしうるのかどうか、というのが、当然、物語のレベルに作用し、内容の濃さに関わっていくのだと思う。

 『学校のおじかん』
  17巻について→こちら
  13巻について→こちら
  12巻について→こちら
  9巻について→こちら
  5巻について→こちら
posted by もりた | Comment(0) | TrackBack(0) | マンガ(09年)
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