ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2006年01月25日
 東京膜

 『東京膜』は、『蛇にピアス』のコミカライズを担当した渡辺ペコ初のオリジナル作品集になる。帯で西島大介がレコメンドしているけれども、いや、しかし、じっさいにこれが、なかなかオススメの一冊なのであった。全部で6つの短編が収められているが、掲載はどれも『YOUNG YOU』(R.I.P.)系の雑誌であり、なるほど、その読者層であるような年齢の女性を主人公に置き、日常のなかにある、等身大で、ままならないエモーションをすくいあげながら、ポジティヴな結末に着地する、そういうささやかにあたたかな物語群になっている。最後のコマに目を通したあとで、じんわりと心に広がってゆく波紋が、心地よい。このなかで、とくに僕が好きなのは、「東京膜#2 適正距離」というお話である。出版社(あるいは編集プロダクションかな)に勤務する大木佐和子は、毎日のように酒を飲む女性である、そのたびに前後不覚になるまで飲み過ぎる、そして酔っ払い、一人暮らしの部屋に帰るが、ベッドまで辿り着けない、いつも廊下で寝てしまう。〈お酒はすき 酔っぱらうのも だけど 本当は 飲まなくったって 素面で世界と対峙したい〉。その彼女が、ふとしたことから、その願いを叶えるまでを「東京膜#2 適正距離」は描いている。これが、アル中というほど深刻ではなくとも、夕方になると、あービール飲みたいなあ、と思う、ある種の寂しくも疲れた人間には、けっこう、「お前はいま泣いていい」と言われているふうに思えるエピソードなのであった。もちろんそれは、読み手を限定しているということではなくて、その心情の動きが、余計な装飾のない、自然さで伝わってくるという意味合いで、なにがしか生きてく上でのリアリティを、しっかりとキャッチしているということである。ほんとうに。思いのほか、よかった。
posted by もりた | Comment(0) | TrackBack(0) | マンガ(06年)
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