
自分の運命が自分にしか変えられないっていうんなら自分で変えるしかねえんだ。当初の目的からすれば(雑誌連載型のマンガであるかぎり、それは必ずしも最終的な目的にはならない可能性もあるのだが)、とうとう佳境に入ってきた感のある『聖闘士星矢 EPISODE.G』だけれど、このところすこし、岡田芽武の絵柄が、柴田ヨクサルふうとでもいおうか、微妙なセンスを発揮しているのは気にかかるが、大げさなはったりによって描かれるメッセージは一貫している。つまり、神という観念の前には誰しも無力にならざるをえない、そう定められていることが絶望であるような場所からでも、人は可能性をひらいてゆけるし、希望をともしてゆける、という意欲のパフォーマンス化だ。たいていのスペクタクルがそうであると同様、根拠の厳密さよりも、傾けられたエネルギーの量が、作品の価値をなしているのであって、だからこそ主人公のアイオリアは、他の黄金聖闘士たちに比べ、思慮が浅く、独善的でなければならない。とりもなおさず、感情のままに突っ走るさまが、燃えるよね。激闘の果て、アイオリアの拳がついにヒュペリオンを砕く。互いを認め合いながらも、どちらかがどちらかを倒すよりなかった。アイオリアの胸中を悲しみが満たす。そのとき、まるで彼らの戦いを嘲笑うかのごとき不敵さで、海洋神のポントスは姿を現した。こうして17巻のストーリーは幕を開けるわけだが、ヒュペリオンの敗北すらも、計画通りにすぎないと宣うポントスに対し、〈二人の運命の間に入って邪魔をすンな!!!〉と怒りをぶつけるアイオリアの叫びが、やはり、『聖闘士星矢 EPISODE.G』の本領だろう。しかし、邪悪とはいえ、神は神、ポントスの存在は強大すぎる。そして、ああ、〈我は星座にも神話にも残されぬ神ではあるが / その身の奥に燃えるたった一つの小宇宙(コスモ)に――お前と戦えた事を誇りとして刻み――この炎を永久に灯すと誓おう〉という覚悟を、アイオリアに伝え、今まさに散らんとするヒュペリオンが、せつない。だがそれもまた、あらかじめ仕組まれたものでしかないのか。ヒュペリオンとの約束を守り、クロノスを保護したアイオリアの目の前で、カタストロフィの幕が開く。
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