
ケータイ小説『天使がくれたもの』のChacoと、『Deep Love』シリーズのコミカライズで知られる吉井ユウが、『みずたま』に続きタッグを組んだのが、この作品、『GOLD』であって、マンガ用の完全オリジナル・ストーリーを編むという新しいカードを切ってはいるが、しかしそれが、キャバクラ嬢を主人公にした通俗的なドラマであるのは、両者のキャリアもしくはイメージからするに、どうもはっとしないアイディアに思われてしまうし、せっかく女性のコンビでつくっているのに、男性作家のそれと内容的に大差がないのも、切り口としてはもったいない気がしてしまう。あるいは、こういうふうにしかサブ・カルチャーの表現は水商売をあらわせないのだろうか。派遣の仕事でかつかつの生活をつなぐ笑(えみ)は、貧しさを見かねた友人に誘われて、気が進まないながらもキャバクラの職に就き、スズと名乗ることになるのだった。色気がなく、その世界のルールもうまく飲み込めないスズは、当然、失敗を繰り返しては店に迷惑をかけるばかりなのだけれども、持ち前の前向きで明るい性格から、がんばり、じょじょに客の心を掴んでゆく。言わずもがな、枕営業がどうだとかの噂やら、金に非情な店長のプレッシャーやら、禁じられた職場恋愛やらもあるよ、といったところであって、取材の成果か、女性の視点か、部分部分にはきわどい現実性を立たせてはいるが、全体の結構は、ステレオ・タイプなドラマに収まっている。それにしてもよく出来ていないのが、作中人物のモチベーションである。それはまあ、こうしたジャンルの常ともいえる。たしかに、どのような職種に関わっているのであれ、じっさいに働いている人間の意欲なんて、この程度には矛盾しているのかもしれないにしても、説得力のプラスにはなっていない。クライマックスにさしかかって、店を辞めていこうとするナンバー1のキャバクラ嬢を、スズが引き止めるくだり、これ、要するに、お客さんに笑顔をもたらすことがいちばんのやり甲斐だと信じて疑ってはいけない、式のサービス業における倫理で話をまとめているのだが、きれいごとを述べるためだけに無理やり辻褄を合わせている(なのに、じつは合っていない)ふしがあり、ひじょうにもやもやとしたものが残る。
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