ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2009年06月18日
 L・DK 1 (講談社コミックスフレンド B)

 父親の転勤に連れられて、学校が変わってしまうのを嫌がったヒロインの葵は、反対を押し切り、一人暮らしをしながら高校へ通うのだが、二年生になったあるとき、アパートの隣室に引っ越してきたのが、親友の萌を素っ気なくふった同級生、柊聖であったため、敵愾心といっしょに要らぬ関心を抱くことになってしまう。そうしてさらに、トラブルもあって、同じ部屋に寝泊まりしなければならなくなったことから、波乱含みのラヴ・ストーリーが繰り広げられてゆく。というのが、渡辺あゆが描く『L・DK』(中黒の箇所はじっさいにはハートを示す)の1巻で見られる展開なのだけれども、当然、それはこの手のマンガにおけるお決まりのコースにほかならない。言うまでもなく、柊聖の存在は、サドっ気のあるクールなイケメンさんで、学校では王子様と呼ばれるほどの人気に設定されている。こうした概要を受けて、ああ、はいはい、で済ませてしまう向きはすくなくないかもしれないし、たしかに新鮮さはないのだが、しかし決して悪くはないのは、作中人物たちの、しょせん嬢ちゃんや坊ちゃんの駄々でしかないような振る舞いにおける一分の切実さが、恋愛の感情を契機とし、他人の気持ちを汲めるだけの関係性を導き出している点である。とくに萌が、柊聖に惹かれはじめている葵の自分に対する気遣いをわかり、あえて発破をかけるくだりは、いささかクリシェ的な表現でありながらも、彼女たちの友情を羨ましくさせるものがある。120ページの最後のコマ、まるで平静を装う萌の口元に、複雑な胸中をのぞかせているのが、見せ方として、いい。こうした表情の技術は、もちろん、じょじょに距離を縮める葵と柊聖のあいだにも生かされている。

・その他渡辺あゆに関する文章
 『オトメゴコロ』
  2巻について→こちら
  1巻について→こちら
 『キミがスキ』
  2巻について→こちら
posted by もりた | Comment(0) | TrackBack(0) | マンガ(09年)
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