ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2009年06月14日
 好きです、草食男子。 (講談社コミックスフレンド B)

 そういえば、すこし前に古谷実が『ヤングマガジン』の柱と巻末のコメントでしつこく鳥飼茜の出産を報告していたが、あれはいったいなんだったんだろうか。いずれにせよ、鳥飼の資質の異質さをうかがわせるエピソードであって、現時点ではここでしか読むことができない(らしい)短篇の読み切り「家出娘」(初出は『別フレ2008』5月号)からは、古谷実や山崎さやかにも通じる内面の抽象性と現実の残酷な一面を、ジョージ朝倉以降とでもいうべき少女マンガ的なリリシズムを参考にし、すくいとっているかのようなニュアンスが感じられ、もちろんそうした手つき自体が物珍しいし、じっさいに作品は独特な雰囲気をおびている。いやはや、もしかすれば傑作であるかもしれない。ストーリーというよりもある種の叙情を読ませるマンガである。一個の物語をつくるためには、十を描かなければならないところを、その半分ぐらいにとどめ、余白のなか、見えていない部分に切々とした情緒を浮かび上がらせる。雪の降る国道沿いのバス停に、同級生の男女を偶々居合わさせただけで、こんなにも深い余韻があらわせることに、おどろく。この『好きです、草食男子。』というアンソロジーには、鳥飼のほかにも、ヒナチなおや春木さき、B型、安理由香、克間彩人といった作家が参加していて、正直、表題のカテゴリーでくくるのが無理やりな(要は、奇人タイプのイケメンさんを題材化している)ラヴ・ストーリーが並んでおり(ヒナチの「ファンタスティック コンタクト」は『机上のrubber』にも入っていたな)、それなりキュートな作品が揃ってはいるのだが、なかでもとくに「家出娘」は、異色、出色であった。

 鳥飼茜
 『わかってないのはわたしだけ』について→こちら

 ヒナチなお
 『オレたちに愛はない』について→こちら
 『机上のrubber』について→こちら
posted by もりた | Comment(0) | TrackBack(0) | マンガ(09年)
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