ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2009年05月19日
 kat18.jpg

 もちろんのとおり、記録を破るというのは記録を作ることと同義であって、先般リリースされた『Break the Records -by you & for you-』を携え、KAT-TUNが挑んだ今回の大規模コンサート「不滅の10日間ライブ KAT-TUN TOKYO DOME 2009」は、正しくその実現にほかならず、いやはや、会場そして日程におけるスケールの大きさはもとより、ショウの内容自体も、破格のスペクタクル、昨日(5月18日)に観たそれの感想を述べるとすれば、たった一言で済む。つまり、最高潮に燃えた。

 何はともあれ、オープニングの迫力はさすが。18時30分、暗転、メンバーのやりとりを模したアニメーションを経、壮大なイントロの「RESCUE」で幕を開けたのだが、どどんと火柱が前方で立つ、そしてバックには(後のMCによればKAT-TUNマンションと呼ぶらしい)高層ビルディング状のセットが組まれ、すさまじい数のジャニーズJrが。真っ赤な衣装を着、縦横のスペースに並び、踊る。圧巻というよりほかない光景のなか、6人のメンバーが威風堂々、歩いてくるのである。うおおお。そりゃあテンションもハイになるぜ。しかもそこから、アリーナ席の頭上を移動するステージに立って、シングルの楽曲をメドレーする展開へとなだれ込むのだから、息つく暇もない。

 バンド形式のグループ、FiVeの演奏を受けながら、「LIPS」、「喜びの歌」、「DON'T U EVER STOP」等々、スピードがあってギターのリフのはげしいナンバーが連続する。おいおい、いきなりこれかよ、このあとどうすんだよ、と思わされるぐらいの一挙放出であるけれども、いやいや、シングルのほかにもすぐれた楽曲を数多く持っているKAT-TUNだからこそ、可能な芸当だろう。まずは勢い、攻め、「ONE DROP」で、すこしドラムが走っているふうに聴こえたところが、生々しくてよかった。

 歌詞をとちってしまう箇所もすくなくはなかったが、昨年に比べ、ヴォーカルの主軸を担う赤西くんの声量は序盤から安定し、他のメンバーの歌唱も気持ちよく決まっている。とはいえ、完成度の観点からいうなら、相変わらず、むらの多いグループである。徹底して隙のないパフォーマンスを繰り広げるタイプではない。正直、なし崩しの姿勢で切り盛りしている場面も見受けられた。が、そうしたルーズさも魅力の一つ、と言ったらファンの贔屓目かよ。しかし、計算の高さのみでは演出しきれないロックン・ロールの魔法がそうであるように、自然と空気の温度が高まっていき、知らずのうち、そのうねりに引き込まれているのだった。

 アリーナ席の中央に設置されたステージに全員が集まり、バラードの「White X'mas」を歌いあげたのち、「SADISTIC LOVE」を嚆矢として、いよいよ『Break the Records -by you & for you-』のナンバーが披露される。着物というか、ユニセックスの歌舞伎ふうというか、艶やかな衣装に身を包んだ亀梨くんの「1582」は、ミニ・サイズの舞台劇で振る舞われる姿が、惚れ惚れするほどかっこうよく、続いて田中くんの「PIERROT」もそのイメージを引き継いでか、和太鼓を大々的に導入したヴァージョンで送られる。ミクスチャー系のヘヴィ・ロックに和太鼓のリズムを加える手法は、SEPULTURAの名を出すまでもなく決して前例のないものではないが、LINKIN PARK以降のメロディアスな路線にそれを組み込んで成功しているスタイルには、馬鹿にできない画期性があった。ステージ上でバイクにまたがる田中くんのパフォーマンス、あれもロブ・ハルフォード以降におけるヘヴィ・メタルの歴史的な認識に基づいたものだ(ここ、ちょっと、うそね)。田口くんのピアノ・ポップ「WIND」では、赤西くんが登場して、ハーモニーを被せようとしたのがうまくいかず、惜しかった。

 それにしても、コンサートの途中で生放送の中継が入ったのは、まあこれはこれでおもしろい日にあたったんじゃない、と楽しむことができたのだけれども、ショウの進行からするに、やはり、すこしだれた感は否めない。テレビ番組『Cartoon KAT-TUN』の企画から発展、連動している中丸くんのバンジー・ジャンプも、個人的には、なくてよかったかなあ。昨年のコンサートでは仕切りのよさを発揮していた中丸くんだが、ほんとうにバンジー・ジャンプが嫌そう、今回は終始テンション低かったよね。とまれ、MCのコーナーでは、得意のヴォイス・パーカッションに、亀梨くんのドナルド・ダックの物真似、田中くんのラップを交え、なかなかの即興が見られた。こういう、KAT-TUNの音楽的なポテンシャルは、もうちょい、高く評価されてもよいように思う。

 そうしてコンサートも後半から終盤に入っていくのだが、シングル「LIPS」のB面に収められた「LOVE」、そして「WATER DANCE」の流れは、楽曲のせつなさ、セクシーさが、幻想的な照明、水柱が幾筋も立ち上る舞台装置と相まって、ひじょうにうつくしいワン・シーンを描き出す。その、うつくしさをはげしさに変えてみせるかのごとく、打ち込みのモードがバンド・サウンドにスイッチし、重低音のグルーヴが響き渡る。おおお、こうくるか。『Break the Records -by you & for you-』アルバムの通常盤のみに収録されていた、つまりはボーナス・トラックに近しい位置づけながらも、スリルとダイナミズムに満ちた「MOON」だあ。思わず声を出して喜ぶ。シングルの楽曲以外にも、ほんとうに十分な佳作が揃っていることを、まざまざと実感させられる瞬間であった。

 その後、A.B.C-ZとKis-My-Ft2が1曲ずつ、それぞれの持ち歌をパフォーマンスする機会があったのだけれど、Kis-My-Ft2の「Fire Beat」、いいじゃん、ハード・エッジなミクスチャー・ロックのヴァリエーションで、たとえば初期の嵐やKAT-TUNの現在を踏まえたものがある。歌詞は少々クリシェすぎるが、ぶんぶんヘッド・バンギングするパフォーマンスを含め、好感触を持った。

 ふたたびKAT-TUNがステージに戻ると、ここにきてデビュー・シングルの「Real Face」が炸裂し、もういっちょう盛り上がる。ほんらいならJOKER(田中くん)の役割、最初のラップを亀梨くんが、後ろのラップを田口くんがフォローしていたのは、ハプニングなのか、事前にプランされたものなのか、知れないけれども、ふだんありえない趣向、サプライズであって、じつにはまっている。メンバーが日替わりで選曲をしているらしいパートでは、昔からのファンのあいだでは根強い人気を誇る「青天の霹靂」が、このときの会場の熱狂ぶりときたら、すごかった。その興奮のまま「サムライ☆ラブ☆アタック」が来たかと思いきや、そちらはイントロしかやらなかったのが残念だった。

 上田くん、中丸くんのソロと続き、でんと玉座にもたれかかった赤西くんが、女性のダンサーを引き連れ、あらわれる。そして歌うのは、クリスタル・ケイとのコラボレイトを果たした「WONDER」である。残念ながらというべきか、当然ながらというべきか、クリスタル・ケイ本人の出演はなかったが、バックの映像を交えながら、KAT-TUN本体では希薄になりつつあるブラック・ミュージック的なセンスに由来したナンバーを、全編英語詞のそれを、堂々としたヴォーカルで聴かせる。これがさあ、ちょっとたまらないぐらいかっこうよくて、ぜひとも何らかのかたちで音源化して欲しい。

 対戦形式のちょっとよくわからないブレイクを挟み、巨大な亀梨くんと赤西くんのバルーン人形を浮かせながら「WILDS OF MY HEART」がかかると、ああ、もう完全にエンディングの雰囲気であって、じっさいにドラマティックなバラードの「NEIRO」で本編は大団円を迎える。もちろん、引き続きアンコールが待っているだろう。「SHE SAID」と「Peacefuldays」の、お約束とでもいうべきくだりは、しかし、やっぱりこれがなくちゃね。とくに「Peacefuldays」における、K-A-K-A-K-A-T-T-U-N、の掛け声なしでは、すべてを締め括ることなんてできねえんだ。ステージ上には、メンバーやジャニーズJr、ゲストが揃い踏み、ジャンプ、ジャンプ、ジャンプ、かくして幸福なひとときに笑顔いっぱいの幕がおろされた。

 ただし、生放送の中継が入ったからなのかもしれないが、セット・リストの曲数には、やや物足りなさが残った。というか、どんだけアンセムを抱えてるんだこのグループは、と思う。シングルの楽曲にしたって「SIGNAL」と「僕らの街で」はやっていないのに、約3時間のショウを興奮のうちに埋めてしまうんだから、な。

 『Break the Records -by you & for you-』について→こちら
 「RESCUE」について→こちら
 「ONE DROP」について→こちら
 「White X'mas」について→こちら
 『KAT-TUN III - QUEEN OF PIRATES』について→こちら
 「DON’T U EVER STOP」について→こちら
 「LIPS」について→こちら
 「喜びの歌」について→こちら
 『Cartoon KAT-TUN II You』について→こちら
 『Live of KAT-TUN “Real Face”』DVDについて→こちら
 「REAL FACE」について→こちら

 DVD『KAT-TUN LIVE TOUR 2008 QUEEN OF PIRATES』について→こちら

 コンサート『KAT-TUN LIVE TOUR 2008 QUEEN OF PIRATES』(8月5日・東京ドーム)について→こちら
posted by もりた | Comment(2) | TrackBack(1) | 音楽(08年)
この記事へのコメント
はじめまして。
時々、KAT-TUNへの投稿の時に拝見させていただいております。(ゴメンなさい)
『こういう、KAT-TUNの音楽的なポテンシャルは、もうちょい、高く評価されてもよいように思う。』
このコメントに激しく同感です。
私、バンド経験のある40代後半なんですが、生まれて初めてファンクラブに入ってライブを観たい!と思ったのが、ジャニーズのKAT-TUNです。
1stアルバムの赤西君のウタに釘付けになりました。
残念ながら、中断期間の影響で正直頭打ち感があるのは否めないのですが、その時期の底上げが功を奏して、この先、この6人でしか出来ないことやり続けて欲しいと、そして、願わくば彼らを支えるスタッフの皆様がソレを後押ししてくださる事を願って止みません。
初コメにもかかわらず、長文、失礼いたしました。
Posted by じゅびぃ at 2009年05月27日 11:31
じゅびぃさん、はじめまして。
コメントありがとうございます。

いえいえ、興味の持たれた記事を読んでいただけるだけでもありがたいです。

>残念ながら、中断期間の影響で正直頭打ち感があるのは否めないのですが、

ほんとうにこれはそう感じますね。でもそこをクリアーしていったもらいたい。

赤西くんって、ちょっとびっくりするぐらいとてもよく歌えていると思うのですが、それ以外にも、ギターのソロやキーボードのソロに、ヴォイス・パーカッション(中丸くん)を組み込むというアイディアも、(アイドルという枠ではなくて、ポップ・ミュージックという大きな枠で見ても)他に実践している例はあまりないので、そういった音楽的な部分を、これから先も伸ばしていって欲しい気がします。

最近は大味なハード・ロックのナンバーが続いていましたが、さて、次はどんな一手を打ってくるのか。楽しみでもあります。
Posted by もりた at 2009年05月27日 19:06
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