ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2009年05月13日
 何だかんだ言ったって、いまだに新しいギャグ・マンガの才能を輩出し続けている『週刊少年チャンピオン』の役割は立派なもんだと思う。この『トンボー』が、初の単行本となる沼田純も、そうしてあらわれてきた内の一人で、まあ、たしかに昔からのファンにしてみれば、やっと、という感じかもしれないが、作者の名の知られる機会が一個でも増えてくれたことは、単純に、うれしい。舞台は田舎、道草村に住むワイルドな14歳の少女、トンボが、親友のリンコなど、半径5メートルの範囲で接する人々を巻き込みながら、どたばた、はちゃめちゃ、賑やかに繰り広げてゆく日常を、ギャグの勢いにしている。正直、現代の観点からすると、やや古めの作風だというふうに判断されてしまう可能性があるのは、エロや萌えの要素、シュール、根暗さ、インターネットに由来するジャーゴンや知識、つまり今日的なフック、キャッチーなノリに、ほとんど頼ることなく、一個一個のエピソードがつくられているためだろう。ただ、元気いっぱいな人間の元気が目いっぱい剥き出しにされていることによって、ゆかいな世界が開けてゆく。要するに、素直な馬鹿をてらいなく描いているところに、おかしさが生まれている。よいほうにとるなら、完全に正統派なのである。トンボの表情は、ときどきキュートであるけれども、彼女のパンツが見えることに、およそ有り難みはない。このアンビバレントでさえも、ちょっとした魅力だといえてしまう。ただし、1巻の段階ではまだ、たとえば登場したばかりのリンコの髪型がきちんと定まっていないのと等しく、作中人物たちの個性が十分に育ちきっていないふしがある。そのへんは、いやもちろん、のびしろとすべきなのであって、作品の楽しさを決してそぐものではない。
posted by もりた | Comment(0) | TrackBack(0) | マンガ(09年)
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