ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2009年04月28日
 そもそも、伝奇ロマンと学園ドラマの相性の良さは、サブ・カルチャー史における種々の作品群によって実証されていることであって、さらには、伝奇ロマンと軍記的な物語のそれも、古来より支持されてきた創作手法の一つを担っているし、もちろん、学園ドラマと軍記的な物語のミックスもまた、数かぞえきれない名作をマンガのジャンルに生み出してきている。これらの可能性を全方位的に包括している以上、桑原真也の『ラセンバナ』がつまらねえわけがねえんだ。いやいや、じっさいこの3巻のあたりから、すばらしく燃えるばかりなので、うれしくなってしまう。親友である春のため、単身、「鬼道」の目論見を探るリョオは、はからずも、不良たちの集団が、不可解な表情で、飛び降り自殺をする現場に出くわす。謎めいた力でそれを引き起こした「鬼道」のウランが、自殺者たちを指しながらリョオを挑発するのに対して、彼は〈知らねーな… この世界でオレにとって大切な人間は二人しか居ねェ 他の奴らが何万人 死のうが 眼中にねえよ〉と一蹴するが、しかしウランの能力は、圧倒的なプライオリティに動かされるリョオの精神すらも、当人には気づかれぬまま、支配下に置いてしまうほどのものであった。まさか、自分がウランに操られているかもしれない、と知ってしまったリョオが、春とまどかの剣(はばき)姉弟に別れを告げようとする場面、その、あまりにも男前な態度がしびれるし、リョオの悲しむ背中を見て、激昂する春の、なんて熱いことかよ。かくして彼らは、幼馴染みのウランを止めたいヒナに手引きされ、今まさに大規模な暴走族の「夜叉丸」が「鬼道」に襲撃されんとする現場に介入することになる、というのがここでのくだりであるけれども、「鬼道」のトップに立つ逞馬のいまだ明かされぬ野心も絡めて、ひじょうに雑多な思惑が入り乱れるなか、うはあ、こうくるかい、にんともかんとも衝撃的な展開が訪れる。過去作の『0リー打越くん!!』や『TO-mA』で見られた桑原の、エロティックでグロテスクでヴァイオレントな資質は、原作者をべつにする『R-16』ではむしろセーヴされていた、と思わされるぐらい、パンツ丸見えのキャミソール・ワンピースで蹴りを繰り出すヒナのアクション・シーンも含め、数々の描写に本領が発揮されている。いとも容易く日常を崩壊し、じょじょにエスカレートしてゆく残酷さは、あくまでもヤンキー・マンガとして描かれてしまった『R-16』で、つい離れていった本来のファン(っているんだろうね)にこそ、再度確認されたいインパクトがある。

 2巻について→こちら
 1巻について→こちら

・その他桑原真也に関する文章
 『[R-16]』(原作・佐木飛朗斗)12巻について→こちら
posted by もりた | Comment(0) | TrackBack(0) | マンガ(09年)
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