ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2009年04月27日
 まさか柳内大樹がここまでの人気作家になるとは。かつて誰が予想したであろうか。もしかしたら、秋田書店で彼と組み、現在は『スーパージャンプ』の編集部にいる担当のO川氏(小川瞳でいいのかな)は、信じていたかもしれない。そのO川氏によって編まれているのが、柳内にとって初の短篇集となる『柳内大樹短編集 柳内大樹』であり、「バンカラボーイズ」、「オヤジガリガリ」、「救命野郎 鮫介」、「ジ・パッピ・ルッジ・ゴルボフちゃん」、「ギャングパラダイス」の五つの読み切りマンガが収められている。なかでも、柳内のキャリア上、とくに興味深く思われるのは、01年に発表された「ジ・パッピ・ルッジ・ゴルボフちゃん」と「ギャングパラダイス」だろう。初期の、いかにも『ヤングマガジン』的なテイストをバネにしながら、試行錯誤をしている様子が見られ、どこかスタイリッシュであろうとし、ある種のポップ性すら感じさせるところは、友人である長田裕幸(長田悠幸というよりも長田裕幸の頃)に近しいものがある。結局、長田も含め、個人的に「50年組」と呼んでいるマンガ家たちが、こうした冒険心と遊び心のある路線ではやっていけず、スタイルの幅を狭めていったことが、現在の彼らの活躍に繋がっているのは、皮肉といえば皮肉である。とりあえず、柳内の場合、それは作風が完成されたと解釈されるべきであるし、じっさい誰彼のフォロワーではないだけの魅力を備えてはいる。しかし、今年(09年)の作品である「オヤジガリガリ」を、「ジ・パッピ・ルッジ・ゴルボフちゃん」や「ギャングパラダイス」と比べるなら、やはり過渡期に入っているかのような印象を持たされてしまう。「バンカラボーイズ」では、そこを突破していけそうな勢いが取り戻されている、が。ところで、じつはこの短篇集で(というか柳内の作品全般にいえることなのだが)いちばん好きなのは、制作裏話的なあとがきマンガのくだりであった。はっちゃけたギャグが、歴史的な証言になっているのは、吉田聡のそれを彷彿とさせる。にしても「救命野郎 鮫介」の30ページ強を三日間で仕上げたってのはすごいな。いやまあ、たしかに05年に発表された「救命野郎 鮫介」というマンガは、それほどひねりのある内容ではないけれども、無闇に「想像力」と言い出す前の、この作者のよさ、つまり、コメディでさえもちゃんとエモーショナルなストーリーとして生かされている点が、とても恋しい。

 「バンカラボーイズ」について→こちら
 「オヤジガリガリ」について→こちら

・その他柳内大樹に関する文章
 『ギャングキング』
  15巻について→こちら
  14巻について→こちら
  13巻について→こちら
  12巻について→こちら
  10巻について→こちら
  9巻について→こちら
  8巻について→こちら
  7巻について→こちら
  6巻について→こちら
  4巻について→こちら
  3巻について→こちら
 『ドリームキングR』(原作・俵家宗弖一)
  4巻について→こちら 
  3巻について→こちら
  1巻について→こちら
 『ドリームキング』
  3巻について→こちら
  2巻について→こちら
  1巻について→こちら
posted by もりた | Comment(0) | TrackBack(0) | マンガ(09年)
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