ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2009年04月24日
 Paranoid Delusions, Paradise Illusions

 PULLING TEETHというと、日本のバンドのことを頭に浮かべる向きもきっと少なくはないと思うが、まあ、ジャンル的にもそう遠くはないラウドでヘヴィなサウンドをプレイしてはいるのだけれども、これから書くのは米メリーランド州ボルチモア州出身のトリオであるPULLING TEETHのことであって、そのサード・アルバム『PARANOID DELUSIONS / PARADISE ILLUSIONS』が、ひじょうにかっこういい。リリース元のDEATHWISHレーベルは、主宰者となっているジェイコブ・バノンのCONVERGEで知られるような、重低音のぐしゃぐしゃにひずんだ激情型のハードコアが一種の目印となっているが、このバンドがユニークなのは、ヴォーカルやギターのスタイルに、オールドスクールなスラッシュ・メタルふうのイディオムを、ふんだんに持ち込んでいることであった。楽曲のスピードや展開は、しばしば初期のSLAYERを彷彿とさせる。しかしながら『PARANOID DELUSIONS / PARADISE ILLUSIONS』では、ちょっとしたパラダイムのシフトが行われているみたいだぞ、と感じられるのは、まず1曲目の「RITUAL」が、いやたしかに、ぶっきらぼうに叫ぶヴォーカルと細やかなリフを刻むギターとが、性急すぎるほどに加速を高めてゆく、そのようなくだりは中盤のあたりで用意されてはいるものの、まるでドゥーム調のごとき、暗い音色の深くて濃い、さらには太くてスローなグルーヴを、マキシマムに渦巻かせているからである。そしてそれは、ほかのナンバー、作品全体に支配的な特徴ともいえるし、ラスト・トラックの「PARADISE ILLUSIONS」では、これまでになかった叙情性をみせていたりもするわけだが、そうしたすべてに、ざらざらとした手ざわりのノイズがあふれ、絶えず緊張の昂ぶっているところが、最初に述べたとおり、ひじょうにかっこういいのであった。それにしても、全5曲で約25分という収録時間に、最初、あれ、これ、EPかよ、と勘違いしてしまったのだが、ちがう。PULLING TEETHなりにコンセプチュアルな内容を目指した結果、フル・アルバムでもこのサイズにまとまっているらしかった。でもそらそうか。06年の『VICIOUS SKIN』が、全11曲(日本盤は12曲)で約15分、07年の『MARTYR IMMORTAL』が、全12曲で約25分なのだから、比べるならもう、立派な大作主義ですらある。

 バンドのオフィシャル・サイト→こちら
posted by もりた | Comment(0) | TrackBack(0) | 音楽(09年)
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

この記事へのトラックバック