ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2006年01月16日
 比べようもない程に

 吉井凜の初コミックスということで、このマンガ家のものは、これではじめて読んだわけだけれども、いや、悪くはなかった。短編集であるが、収められている作品はどれも、『比べようもない程に』という表題の示すとおり、最愛の人の代替物などどこにもない、といった体の物語として描かれている。ぜんぶで4編入っている。そのなかでもっとも好ましかったのは、家庭に居場所の見つけられない高校生たちを扱った「come here, baby」である。女の子の側に、なにかヘヴィな事情があって、その語られないことに感情移入してゆく男の子、というストーリーは、まあアリガチといえばそうであるけれども、じつは登場人物たちの苦しみがあまり巧く表されてはいない、もちろん、それを下手だということはできる、が、そうではなくて、直截的であることを回避した結果、そのようになったと見るほうが、説得力の得られるように思う。表題作「比べようもない程に」のなかに、次のようなモノローグがある。〈強がりっていうのは 気づいてもらえれば それだけで もう救われるのに〉。「come here, baby」では、その気づくことが=救いとなることが=ハッピー・エンドとなっている。そのため胸中にある苦しみは、最後のときまでずっと伏せられなければならない。それが、登場人物に対してのみではなくて、読み手に対しても行われている、と僕は考えた。もちろん作者が意識的にそうしたのかどうかはわからないけれども、そのことが、見え見えの展開に、ひとひねり加えている。
posted by もりた | Comment(2) | TrackBack(0) | マンガ(06年)
この記事へのコメント
こんにちは

私もブログで自作の小説を毎日一編ずつ作っては載せています。
現在殆ど途切れずに160日ほど続けています。

http://white.ap.teacup.com/takaojisan/

毎日ですから名作、迷作、凡作、愚作、駄作、傑作様々ですが、精々4000文字までの作品です。一度お立ち寄り下さい。

また、コメントなど頂ければ幸いです。

さらに、相互リンクなどをしていただければ望外の喜びです。

Posted by たかおじさん at 2006年01月18日 08:12
どうもです。こんにちは。
機会があれば、のぞかせていただきます。
Posted by もりた at 2006年01月18日 12:05
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