ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2009年04月07日
 でろでろ 15 (15) (ヤンマガKCデラックス)

 雑誌掲載時、てっきり単発のネタかと思っていた耳雄の、メダカちゃんと呼ばれる二次元アイドル化が、その後も数週に渡り、しばらく引っ張られたのには、少々とまどってしまった。こうして単行本で読むなら、ああ、というオチがついて丸く収まっているような展開ではあるものの、続きが見えない段階では、まさかずっとこのままで行くのではあるまいね、と、まあ、これはこれで可笑しいし、楽しい、ぜんぜんオーケーなのだけれども、こんなにもキュートで皆から愛でられるのなんて耳雄らしくねえや、という気分もあるにはあったせいである。しかしじっさい、耳雄が元に戻ってしまうと今度は、メダカちゃんを返せ、と言いたくなってしまうのだから、まったく人間ってわがままだな。これまで作品自体は取り上げることのなかった押切蓮介の『でろでろ』について、このように書いているのも、すべてはメダカちゃんのためである。いやいや。中野のブロードウェイ、80年代の二次元アイドル『猫耳メダカちゃん』の専門店で、メダカちゃんを現実化する装置実験に、はからずも介入してしまい、すっかり姿恰好の変わってしまった耳雄に対し、周囲の人物たちの接し方がふだんとは違ってしまうのが、おもしろい。親友であるはずの委員長とか、大概である。もちろん、だからこそ人間に戻った耳雄が、メダカちゃんに執着する委員長に向かって、〈委員長‥前みたいに俺に優しい委員長でいてくれよ‥〉と述べたりするのが、こう、心のひだに、溜め息交じり、触れてくるおかしさになっているのだが、並べられたエピソードを眺めてみるに、結局のところ、妹の留渦にだけは、耳雄はいつもどおりの耳雄であったのかもしれない。このへんの兄妹愛といおうか家族の関係性が、やはり『でろでろ』の、全体の構成を支える骨格になるのだろうな、と感じられる。相原姉妹のくだけたファミリーっぷりもいいよね。じつはどっちも不便な性格なのに、不思議と不幸せばかりではなさそうな。

・その他押切蓮介に関する文章
 『ゆうやみ特攻隊』
  3巻について→こちら
  2巻について→こちら
  1巻について→こちら
 『ミスミソウ』
  2巻について→こちら
  1巻について→こちら
 『プピポー!』
  1巻について→こちら
 『おばけのおやつ』について→こちら
 『ドヒー! おばけが僕をペンペン殴る!』について→こちら
 『マサシ!! うしろだ!!』について→こちら
posted by もりた | Comment(0) | TrackBack(0) | マンガ(09年)
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