ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2009年03月29日
 河原和音の『青空エール』は、1巻のときはそうでもなかったのだが、2巻を読んで、ぴんとこない。どころか、あまり感心しなくなってしまう。それというのは、相応のキャリアを積んでいる作者が、どうしてこんな、まあ原作が付いているわけではないのだけれども、出来がいまいちな児童文学のコミカライズみたいな作品を描くのか、つよく響いてこないためで、もちろん、児童文学のコミカライズみたいな作品であることが、どうというのではない。そうではなくて、ここに捉まえられている純粋のようなものが、個人的には、よく信じられないのである。ヒロインのつばさは、高校にあがると、吹奏楽部に入り、甲子園のスタンドで、トランペットを吹き、野球部の応援をすることを夢見る。しかし、まったくの初心者である彼女にとって、吹奏楽の名門として知られ、実力者が揃って練習に励む活動の内容は、きびしい。ときにはくじけそうになってしまうつばさであったが、野球部でがんばり、甲子園出場を目指すクラスメイト、大介の存在と言葉を支えに、すこしずつ、夢に向かって、前進をしてゆく。こうした物語をあらわすにさいし、作中からはほとんど、悪意をもって働きかける人物が、排除されてしまっている。そのため、いかにもピュアでござい、としつらえられている部分が、無条件に前面化している。ふくらみがない。もしも、何かしらかの純粋が託されているとしたならば、それはひどくごつごつとしていて、とても魅力的には感じられないのだ。たとえば、ここに示されているイノセンスは、『高校デビュー』がそうであったように、体育会系の熱心さを糧にしている。だが『高校デビュー』においては、そうしたヒロインの資質が、周囲の言動によって相対化されることで、ある種のイノセントとして機能しえたのに比べ、『青空エール』の場合は、子供は子供だから純粋だという無根拠な思いなしと同じく、十分に検討されていない基準を信仰しているふしがある。そうした偏りは絵柄にも及ぶのか、登場人物たちのデザインにしても、以前ほどにはチャーミングでなくなった。

・その他河原和音に関する文章
  9巻について→こちら  
  8巻について→こちら
  7巻について→こちら
  6巻について→こちら
  3巻について→こちら
  2巻について→こちら


posted by もりた | Comment(0) | TrackBack(0) | マンガ(09年)
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