ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2009年03月22日
 そもそも、立原あゆみの『極道の食卓』は、1巻が出たきりになっている過去作『喰人』を原型にしていると見てもいいのであって、つまりは柳沢きみおにとっての『大市民』のようなもの、といえばいえなくもない側面を持っているのだけれど、個人的には、あくまでもマンガを読みたいときに、そういう時事に対するオピニオンは、やはり、ストーリーとなる部分が生きてこそ有意義だと思っているので、さすがに8巻までになってくると、一話完結の形式でエピソードをこしらえるのがつらくなってきたのか、お話のレベルに当初ほどのエンターテイメント性が感じられず、すこし残念な節もあるにはあるのだが、路上売春婦と援助交際者の対立を描いた篇や、若いカップルの出産を苺のバースデイ・ケーキで祝う篇、そして、久慈雷蔵の子分の失恋をベースとした篇には、シリアスな作品とは違ったユーモアのなかに、独特のあゆみイズムがよく出ており、世知辛さも込みで人生の情趣であるような、そのへんはしっかり満足のいく内容になっている。とくに、先ほど挙げたうちの三番目、濁組の若い衆である飛が、高嶺の花に一目惚れし、夢中になったはいいが、二目と会えず、傷心するくだりは、ああ、こういうのがやっぱりこの作者の真骨頂だな、と思われる。純情であるあまり、恋愛にはからっきしなヤクザというのは、『本気!』の初期に通ずるものだろう。いや、もしかしたらパロディになっているのかもしれない。もはや自分からは失われてしまった清廉を、高潔でうつくしく見える女性に求めるというのも、そうである。しかしそれが、ここでは、ひとひねりのオチも含め、ラヴ・ストーリーとして盛り上がる以前の、可笑しいとも悲しいとも、何とも言えない、侘びしさを連れてくる。

 7巻について→こちら
 6巻について→こちら
 5巻について→こちら
 4巻について→こちら
 3巻について→こちら
 2巻について→こちら
 1巻について→こちら
  
・その他立原あゆみに関する文章
 『仁義S』
  9巻について→こちら
  8巻について→こちら
  7巻について→こちら
  6巻について→こちら
  5巻について→こちら
  4巻について→こちら
  3巻について→こちら
 『本気![文庫版]』
  6巻について→こちら
  5巻について→こちら
  4巻について→こちら
  3巻について→こちら
  1・2巻について→こちら
 『恋愛』
  3巻について→こちら
  2巻について→こちら
  1巻について→こちら
 『ポリ公』
  4巻について→こちら
  2巻について→こちら
 『月の教室』について→こちら
 『喰人』1巻について→こちら
posted by もりた | Comment(0) | TrackBack(0) | マンガ(09年)
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