ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2009年03月15日
 彼はトモダチ 4 (4) (講談社コミックスフレンド B)

 しかし嫌な女がいたもんだねえ。生まれや育ちのせいで、性根のひん曲がってしまった坊ちゃんもたいがいであるが、嬢ちゃんも同様に、タチがわりい。吉岡李々子の『彼はトモダチ』に登場する、神原琴音の困ったちゃんぶりは、作者はよくぞこれを発明したな、と思わせるぐらい、むかむかする。この4巻では、それがさらに腹立たしくなっている。水野から恋愛の感情を伝えられたヒヨリは、そのことをきっかけとし、あらためて、自分がほんとうに好きなのは佐々本以外にありえないと知る。そして彼の家を訪ね、もう一度、話し合いの機会を持とうとするのだが、琴音の陰謀によって、知らずのうち、それを阻止されてしまうのだった。やはりヒヨリのことを忘れられない佐々本が、彼女を追いかけたときにはもう遅い。すべて終わってしまったと悲しむヒヨリが、水野によって慰められ、彼の気持ちを受け入れる場面を目撃してしまう。とにもかくにも、琴音の、自意識の壊れ方がすばらしい。これが男の子だったら、甘ったれんな、不幸なのはおまえだけじゃねえんだよ、って、ぶん殴ったら効果があるのかもしれないが、女の子はデリケートで複雑という思いなしが世間一般にはあるので、周りの扱いもそうはいかない。だからこそ、佐々本は〈……あいつは1人にしておくと ヤバいんだ 「さみしい」ってだけで 他人も自分もキズつける〉琴音に、自分のヒヨリに対する想いを断念してまで、付き添わねばならないのである。琴音の事情を知ったクラスメイト(当道のこと、かっこういい役回りだよね、この子)が、〈オレもさぁ ヒメみたいな子 近くにいたんだよ あれはエスカレートすると取り返しのつかないことになりかねないし ほっとけないよな……〉と述べるとおり、はたして佐々本のスタンスが、正しいとも間違っているとも、容易くは判断できないけれども、このままでいいはずがない。ヒヨリ、水野、佐々本、そして琴音の四角形において、もっとも横暴な琴音が、ヒヨリに向かい〈ホントのコト なにも知らないクセに〉と冷ややかに浴びせる言葉が、そりゃおまえのせいだろう、誰かさんの匙加減一つじゃん、あんまりだあ、いちいち癇にさわる。もしも作者が、物語をヒロインのハッピー・エンドに持っていくつもりで、さらには琴音の存在も救いたいと考えているなら、どういうふうな結論を用意するのか。すくなくとも、その点からは目が離せなくなっている。

 3巻について→こちら
 1巻について→こちら

 『99%カカオ』について→こちら
posted by もりた | Comment(0) | TrackBack(0) | マンガ(09年)
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