ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2009年03月06日
 Believe│曇りのち、快晴【通常盤】

 嵐(ARASHI)の「Believe」は、スピーディなテンポのなか、力強さにあふれ、肯定のニュアンスを伝えてくるナンバーであるが、しかし最大のチャームは、再生時間でいうなら、3分より先の展開にこそあるのではないか、と思う。グループが大成するにつれ、じょじょに薄れていったふうにも感じられる焦燥が、櫻井くんのラップに合わせ、変調のステップを踏むためである。楽曲の基本線は、前々シングルにあたる「truth」の路線を受けたかのような、打ち込みとストリングスの合奏が、ドラマ性を高め、盛り上げるタイプのものだといえる。もちろん、リズムやメロディのパターンがぜんぜん違うのだけれども、「Believe」にあって「truth」にないもの、おおきく異なっているのは、やはり、そのパートだろう。おそらく、編曲を担当した吉岡たくの手腕も、そこに生きている。吉岡の、嵐に関する仕事といえば、たとえば「COOL&SOUL」や「Re(mark)able」等の、ラップ主体型のナンバーを挙げられる。「Believe」のソング・ライティング自体は、100+によるものだが、櫻井くんがラップに入り、押韻を激しくすると同時に、エレクトリックなギターがじゃきじゃき鳴り、ループ構造であったバックのトラックが、ジャジーともとれるスリルな表情を見せはじめるところに、「COOL&SOUL」や「Re(mark)able」の展開にも相通ずるスタンスがある。そして重要なのは、そこに預けられている焦燥の質であって、すでに「COOL&SOUL」で〈そして幕開け 第二章〉と宣誓されていたとおり、決して初期の頃へとは回帰していない。02年のセカンド・アルバム、『HERE WE GO!』に収録されていた「ALL or NOTHING Ver.1.02」のような、世間や大人に苛立った態度は、もはや、あらわれていないのである。たしかに「Believe」において、櫻井くんが自作したラップ詞は、〈一体何をしているんだろう 一体何を見ているんだろう 一体何に生きているんだろう〉と憂い、〈“僕はもう…” 嗚呼もう 走馬灯のよう〉と嘆いてはいる。ひとまず〈昨日も今日も今日もそうだろうが 今日は今日でどうかしよう〉とするしかないみたいだ。が、しかしそれでも視線は、過去を振り返り、今だけにすがって終わることもなく、前向き、〈あの頃の未来向かい 時代に期待せずも進むmy life〉と定められている。〈時代に期待せずも〉というあたり、櫻井くんの詞に特有のシニカルさを受け取れるが、初期の「言葉より大切なもの」や「五里霧中」のそれとくらべるなら、昨日よりも何とかおおきくしていようとしていた今日の比重よりも自然と明日の比重のほうがおおきくなっていることが、わかる。これを、ある種のテコにし、メンバー全員がうたう〈そう 僕らはずっと待ってる いつまでだって待ってる どこまでも続いてゆく道で 心にずっと抱いてる この夢きっと叶うはず 泣いて笑って進んでゆく〉というコーラスは、さらに上昇の気流を描いていく。はたして現在、嵐がデビューした99年よりも、世のなかはよくなかったか。いや、たぶん、そんなことはないに違いない。けれども、これが最低の時代だって、もう何十年も言われているようなとき、それを変えていくために変わらなければならないのは、結局、自分自身でしかないのだろう。〈頭上に悠然とはためく 漠然とした夢を掲げ この道の先まだまだ見えず 失敗からしか何一つ学べず〉だとしても、あるいはそうであるがゆえに、だ。ところで、嵐の楽曲には、必ずしも作詞者は一致しないのに、なぜか人生の成り行きを列車に喩えるものがすくなくはないが、通常盤にカップリングされている「トビラ」も、そうした一つに数えられる。この点や、メンバーそれぞれが入れ替わり、ポップなラインをうたい繋ぐさまも含め、じつに、らしい、ウェルメイドなナンバーだといえる。「Believe」とともに、両A面ということになっている「曇りのち、晴れ」は、周知のように、大野くんの、タイアップ・ドラマの役柄名義によるソロ・ナンバーである。そもそも嵐というグループにおいて、大野くんがヴォーカルのメインを張る機会が多いわけだから、どうしてこういうピック・アップをしたのか、諸事情はよく知れないけれど、いやいや、ピアノの旋律にのって、きらきらときらめくあかるさが、独唱で伸びていく声のうちにうまく表現された、なかなかナイスなナンバーだと思う。

 『beautiful days』について→こちら
 『truth / 風の向こうへ』について→こちら
 『Dream“A”live』について→こちら
 『One』について→こちら
 『いざッ、NOW』について→こちら

 9月6日『arashi marks ARASHI AROUND ASIA 2008 in TOKYO』について→こちら
posted by もりた | Comment(0) | TrackBack(1) | 音楽(09年)
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嵐,矢野健太 starring Satoshi Ohno/Believe/曇りのち、快晴の動画がご覧になれます。
Excerpt: PV視聴 動画 - 動画検索.comでは、嵐,矢野健太 starring Satoshi Ohno/Believe/曇りのち、快晴の動画がご覧になれます。
Weblog: 動画検索.com
Tracked: 2009-03-22 00:58