ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2009年02月23日
 Common Existence

 ねえ、この頃、どうしてかわからないが、ひどく悲しい、悔しいし、無性に腹が立つんだ。すぐれた音楽はしばしば、その、正体不明な感情にかたちを与える。たとえば自分にとって、THURSDAYの通算5作目となるフル・アルバム『COMMON EXISTENCE』なんかは、そうだといえる。ここ最近、フロントマンのジェフ・リックリーが、ゴリゴリにとがって叫びまくるプロジェクトのUNITED NATIONSに参加したり、バンド本体は、音響叙情派としてふるう日本のハードコア・アクトENVYとのスプリットをリリースしたりと、ビッグ・ネームになったあとも決してアンダーグラウンドの気質が失われていないところを見せていた、米ニュージャージー州出身の5人組であったけれども、所属のレーベルを、モダンなパンク・シーンの重要な拠点、EPITAPHに移し、そしてついに発表された『COMMON EXISTENCE』において、これまでの指向を突き詰めながら、そこからさらに敷衍したかのような、狭いジャンルの内部評価にとどまらぬほどキャパシティのでかい、深奥で強烈に満ちた存在感を発揮している。とにかく、全方位に向けられたナイーヴさと全方位に向けられたアグレッシヴさとが、虚無のずっしり重たくなりそうなムードのなか、パッションとは何だ、リリカルとは何だ、いちいちうるさく問うてゆく勢いで、攪拌され、あたかも絶体絶命の手ざわりを身近に察知したからこそ、生き生きとして振る舞いたくなるさまを描くのである。わっと出たテンションではっちゃけ、ギターの旋律は細やかに激しく、幾重にもふくらむことで複雑化した展開に、ダイナミックなドラマを盛り込んでゆく1曲目の「RESUSCITATION OF A DEAD MAN」からして、じつにスリルあふれるよね。そうしたインパクトをキープしたまま、終盤にメロウな余韻を重ね合わせる2曲目の「LAST CALL」や、先述したENVYとのスプリットにも収録され、めまぐるしいぐらいの性急さが自然と寂しげな印象へとスライドする3曲目の「AS HE CLIMBED THE DARK MOUNTAIN」にも、思わず身を乗り出し、たいへん胸騒がされるものがある。プロデューサーは、06年の前作『A CITY BY THE LIGHT DIVIDED』と同じく、デイヴ・フリッドマンが担当しており、まあハードな部分はもうちょい硬く鳴ったほうが個人的に好みかなという気がしないでもないが、触感は、緻密であることと生々しくあることが同時的に加工されていて、アップとダウンの落差のあいまがカタルシスとなる表現に対し、存分な説得力をつくっている。バックの演奏は、いかにもTHURSDAYでござい、といった力みがクライマックスを連続する場面のみならず、リズムのとり方がキャッチーな5曲目の「BEYOND THE VISIBLE SPECTRUM」や、アコースティックではじまりシアトリカルに孤独を述べる6曲目の「TIME'S ARROW」、一時期のDEFTONESやFARを彷彿とさせるモードからモダンにメロディアスになる8曲目の「CIRCUITS OF FEVER」など、ミドルやスローなナンバーにあっても、以前にも増し、陰影を濃く描き、そこに被さるヴォーカルは、うたうだろう、叫ぶだろう、嘆くだろう、ときには囁くだろう、ありったけ心の裡をぶちまける、傾斜をのぼるにしてもくだるにしても、速度をゆるめない緊張で、もしも魂というものがあって、もしも死んでいるのならレクイエムに、そしてもしも生きているのならエールに、デジタルもシグナルも関係なしに、そのように聴こえるように。はてしなく、せつなく、つよく、だ。

 『A CITY BY THE LIGHT DIVIDED』について→こちら

 バンドのオフィシャル・サイト→こちら
posted by もりた | Comment(0) | TrackBack(0) | 音楽(09年)
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