ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2009年02月15日
 17(じゅうなな) 2 (2) (講談社コミックスフレンド)

 桜井まちこの描く泣き顔や笑い顔がほんとうに好きで、ほとんどもう、そのチャーミングさを見るために、作品を追っているようなところがある。しかしそれは、必ずしも作中の人間たちがよく生きているということではないのであって、むしろ各々の個性、魅力、ひいては物語のレベルにおいての弱さを思わせる。と、これはかねてより述べてきたことの繰り返しであるかもしれない。が、そうした印象は『17[じゅうなな]』の2巻になっても、おおきく変わることはない。けれど、登場人物はわずか四人とさえいえる青春の像にあって、表情の一つ一つがこうも鮮やかであると、その一喜一憂に切々と訴えかけてくるものが生まれている。恵に励まされ、佑介との関係を元に戻したい詩歌であったが、終わりは、自然に、唐突に、やって来てしまう。これを機とし、詩歌と恵の二人の関係にも微妙な変化が訪れる。というのが、ここでのだいたいの流れである。四年間付き合っていたカップルが別れる、別れなければならないのは、傍からすれば、たったそれだけのことにすぎない。だが、もちろん、たったそれだけのことが、ひたすら悲しく、重い、このような気分が、さりげない風景にまじった描写のレベルでたしかに伝わってくる。巻頭に置かれている「放課後」と題された前日譚のような、たいへん短いエピソードがとくに、すばらしく、うつくしい。こういうワン・シーンだけを切り取ってきても、それが十分に機能してしまうのが、作者の、らしさ、であるし、同時にウィーク・ポイントでもある。今後、詩歌と恵の間は、どう進んでいくのか。二人の関係をあやしむ明の表情が、彼女の内面を雄弁に語っているのにくらべ、どうも詩歌や恵のそれが、ニュアンスの妙をうまく出せていないのは、たとえばゼロに近しかった関係を積み重ねるというのが、ある場合には物語をつくるというのとほぼいっしょのことだから、だろう。

 1巻について→こちら

・その他桜井まちこに関する文章
 『minima!』
  2巻について→こちら
  1巻について→こちら
 『H-ラブトーク-』について→こちら
 『H-エイチ-』
  6巻について→こちら
  3巻について→こちら
posted by もりた | Comment(0) | TrackBack(0) | マンガ(09年)
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