ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2009年01月24日
 おや、幸田もも子も(この、も、こそが今日重要である)、こういう路線へと振り切れていくのか。『よってけ!音子村』は、ラヴ・ストーリーの、ストーリーにあたる箇所を、コメディに移し換えて成り立ったマンガである。もちろん、それって単純にラブコメのことでしょう、といえるだろう。が、しかしラブコメと呼ばれる系がすでに、男女の関係を戯画化した一つの様式、一つの語り口である、と前提されるとき、『よってけ!音子村』に描かれているのは、もっぱらギャグでしかなく、恋愛のモチーフは、ただそのどたばたを盛り上げるためにのみ、費やされる。つまり、従来のラブコメに比べて、極端に物語性が低い。にもかかわらず、そこにドラマを見ることが可能なのは、やはり、ラヴを扱っているからにほかならない。要するに、これをラヴ・コメディであるとするならば、ラヴはテーマにかかっているわけではなく、あくまでもストーリーを肩代わりしているものなのであって、それがさらにコメディとしてあらわされているのである。そしてそのようなスタイル、センスは、幸田に特有であるというよりも、現在、少女マンガのシーンにおいてポピュラーになりつつあるものの一つ、ではなかろうか。ヒロインの有栖川乙女は、根っから〈男ってのは最低な生き物ね!〉と思っており、恋愛なんてのもするつもりがない。だが、16歳になったら婿をとらなければならないという、家のしきたりのために無理やり、婚約者を見つけるべく、住民の98%が男子であるらしい音子村で暮らす羽目になってしまう。まず設定の大半が冗談のようであるし、そうした事情を嫌々、反抗する乙女の態度が、当人の切実さに反し、おもしろおかしく示されていることが、作品の魅力を担う一点だと感じられる。もう一点、白馬騎士(はくばないと)という、この名前もまあ冗談のようであるけれど、その、音子村で出会った同級生とのやりとり、じょじょに惹かれ、不器用で切実に片想いしていく様子が、フックの役割を果たしている。つまり、こうした二点を指し、最初に述べたとおり、ラヴ・ストーリーの、ストーリーにあたる箇所を、コメディに移し換えて成り立ったマンガ、と受け取れる。

 『姐さんカウントダウン!〜恋愛抗争編〜』について→こちら
 『姐さんカウントダウン!』について→こちら
 『誰がスッピン見せるかよ』について→こちら
 『そんでむらさきどーなった?』について→こちら
posted by もりた | Comment(0) | TrackBack(0) | マンガ(09年)
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