ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2008年12月18日
 The Cross of My Calling

 古色蒼然としたオルガンとギターの調べが、たわやかな黄昏を誘うからか、それともそこから湧き出るデジャ・ヴュにも似た強烈な印象が、楽曲のフックとなりうるからか、THE (INTERNATIONAL) NOISE CONSPIRACYのニュー・アルバム『THE CROSS OF MY CALLING』は、以前よりもさらにシックな装いに包まれているけど、しかし同時に、以前をも凌ぐぐらい、はじけ、飛ぶ、勢いを聴かせる。ああ、これはもう存分にかっこうをつけていることが、最高に決まっているロックン・ロールにほかならない。とてもいけていると思う。全体を覆うのは、たしかにレトロスペクティヴな質感である。だがそれが、うずうずとした衝動と興奮の、多分に孕んだグルーヴを放ってくる。渋いジャム・セッションふうの「INTRO」が、ウォーム・アップとなり、2曲目の「THE ASSASSINATION OF MYSELF」で、ハードなドライヴィングのスイッチが入る。小刻みなビートに性急さのよくあらわれたドラムをサーブとしながら、演奏のテンポはアップし、デニス・リクスゼンのヴォーカルが、言葉数は決してすくなくはないのにキャッチーなラインのちゃんとあるフレーズの、抑揚の、しなをつくっていく。60年代、70年代の過去に遡っているともとれるタイプのサウンドは、今日のシーンにおいて、一種ファッショナブルにメジャー化してはいるものの、THE (INTERNATIONAL) NOISE CONSPIRACYのそれは、ブルージーな腰回りからヘヴィ・ミュージックに通ずるグラインドをさらってくるのではなく、もっとずっと軽快に跳ねている。押すべきは押し、引くべきは引く、絶妙なバランスがダイナミズムとなっている、そういう、きわめて単純なレイアウトでしかすくいとれない熱気こそが、目指されているような気がする。ポリティカルなメッセージを身の上とするグループだけれど、それがどうというよりも結局、出力されたエネルギーのありように、独特なタッチとパワーは定められるのだ。「INTRO」と「INTERLUDE」を含む14のナンバーに佳曲は多い。なかでも、ある意味でクリシェ的なタイトルどおりのコーラスを、とてもポップに響き渡らせる5曲目の「HIROSHIMA MON AMOUR」が、出色である。掴みやすく、切れの良いリズムが、シンプルなコードに支えられたトラックを輝かせている。また、交互にソロ・プレイするキーボードとギターの、それこそオールド・スタイルのハード・ロックみたいなコントラストのあいだで、だんだんと溜め込まれたエネルギーが、ソォカモンッ、という掛け声によって一気に破裂させられる7曲目の「CHILD OF GOD」にも、すばらしいカタルシスがある。リック・ルービンのプロデュースにしたって、要するに、モダンなアプローチより、こういうもののほうが合っている。隙があり、生々しいところに、音圧では測れない、手応えを感じ取ることができる。臨場にあふれている。くっきりとしたアクセントからは、しばしばデリケートな表情が垣間見られる。そうして作品を通していったとき、アルバム名にもなっている「THE CROSS OF MY CALLING」を、全体のラストに置いた構成は、ひじょうにうつくしい。8分の内容において、切々と繰り返される〈Hold me in your arms like you promised me. Shelter me from harm. Hold me in your arms tonight. When the music stops〉の訴えかけが、スローでメロウなペースを、じょじょに激しく、騒がしくさせていく。ひとしきり盛り上がったのち、尾を引いて残る旋律が、正しくこの最高に決まったロックン・ロールのエンディングに相応しい。

 『ARMED LOVE』について→こちら

 バンドのオフィシャル・サイト→こちら


posted by もりた | Comment(0) | TrackBack(0) | 音楽(08年)
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