ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2008年11月24日
 The Works

 昨日(11月23日)、赤坂ブリッツで行われたTHE WILDHEARTSのショーは、彼らのファースト・アルバムである『EARTH VS THE WILDHEARTS』のリリース15周年を記念し、その内容を再現するという、まあ、後ろ向きといえばいえなくもない企画ではあるのだけれど、じっさい目のあたりにしたそれは、諸般の事情はもうどうでもよろしくなってしまうほど、すばらしくテンションの高まってとどまらない、まさしく絶好のステージであった。

 だいいち、バンドは『EARTH VS THE WILDHEARTS』の発表当時、日本ツアーを実現していないのである。たしかに、その後の来日公演などで『EARTH VS THE WILDHEARTS』からのナンバーが披露される機会もすくなくはなかったが、しかし滅多にプレイされない楽曲のほうが多いくらいだった。しかもそのなかには、旧くからの熱心なファンに、なぜあれをやってくれないんだ、と待望久しいものが何曲も含まれている。それがここにきて、ついに間違いなく、実演される。

 当然、1曲目は「GREETINGS FROM SHITSVILLE」だ。超満員の(と形容しても差し支えがないだろう)会場が割れんばかりの歓声をあげる。2曲目の「TV TAN」にいたっては、フル・コーラス大合唱という感じで、歓喜と興奮の感情を、パワフルかつエネルギッシュな演奏へと返す。バンド自体も決して若くはなければ、客層も決して低くとは言い難い。にもかかわらず、熱狂が、ダイナミックなウェーヴを、とたんにつくり上げる。

 ヘヴィなギターのリフとメロディアスなヴォーカルのハーモニー。THE QUIREBOYSを追い出されたギタリストが、GUNS N' ROSESのようなスリージーなパフォーマンスを前方に見、NIRVANAの素朴なポップさや簡潔なアグレッシヴさを横目にし、PANTERA、SEPULTURAといった同時代の重量級サウンドに感化されながら、イギリスの風土のなかで見事に結実させたロックン・ロールが、『EARTH VS THE WILDHEARTS』の曲順どおり、絶え間なく響き渡る。「SUCKERPUNCH」の猛スピードな勢いは、いつになっても強烈なままだ。「NEWS OF THE WORLD」が聴けたのも嬉しい。

 「LOVE U TIL I DON'T」で『EARTH VS THE WILDHEARTS』のパートをぜんぶこなし、いったんは引っ込んだメンバーが戻ってくると、アンコールは、「DANGERLUST」からはじまり、初期の「SUCKERPUNCH」EPや「CAFFEINE BOMB」EPに収録された、いわゆる隠れた名曲の数々が、次々と披露される。「GIRL FRIEND CLOTHES」に「THE BULLSHITS GOES ON」、「SHUT YOUR FUCKING MOUTH AND USE YOUR FUCKING BRAIN」、「BEAUTIFUL THING YOU」、「TWO WAY IDIOT MIRROR」、そしてもちろん、THE WILDHEARTSのライヴには欠かせないアンセム「29 X THE PAIN」と、ことによったら、こちらを本編としてしまってもよいぐらいのサプライズと高揚が連続する。

 95年の初来日公演のとき、やって欲しいやって欲しい、と願っていたいくつかのナンバーが、ようやく聴けたという気がした。そう考えると、ずいぶん待たされたものだ。中心人物であるジンジャーをべつにすれば、あれから何度かの入れ替わりがあり、メンバーもだいぶ変わった。個人的な思い入れとしては、あの頃のダニーやジェフを含むラインナップが懐かしいが、しかしそれとはべつの、なにか達成感にも似た感慨が、今回のショーを観終えて、あった。

 おそらく、ノスタルジーではないだろう。うまい言い方を見つけられないけれども、たぶん、あらかじめ頭のなかで描いていた期待にじっさいの興奮が追いついていくような、そういう手応えではないか。「SOMEONE THAT WON'T LET ME GO」や「SICK OF DRUGS」、「I WANNA GO WHERE THE PEOPLE GO」という、『EARTH VS THE WILDHEARTS』以降からピックアップされた3曲の、2度目のアンコールを経て、全編は幕を閉じた。音が止み、照明のあかるくなるつよさは、ちょうど、幸福な夢の醒めぎわを思わせた。

 『THE WILDHEARTS』について→こちら
 ライヴ盤『STRIKE BACK』について→こちら

 バンドのオフィシャル・サイト→こちら
posted by もりた | Comment(0) | TrackBack(0) | 音楽(08年)
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