ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2005年12月23日
 聖闘士星矢EPISODE・G 8 (8)

 〈誰一人だって見捨てる事もあきらめる事もオレはしねぇ 誰かの命を捨てて買う平和なンかオレは認めない〉。熱血だなあ。あいかわらず燃えワードが満載じゃねえかしら。いや、男の子はこうでなくてはならない。8巻。完全復活を目論み、封印された「楚真」を奪取すべく、聖域(サンクチュアリ)に大神(クロノス)が直接乗り込んでくる。彼が甦ったとき、地上に生きる者は、すべて滅ぶ。若き黄金聖闘士(ゴールドセイント)たちの間に緊張が走る。しかし教皇が彼らにくだした勅命は、各自待機というものであった。唯一自由に動くことのできるアイオリアは間に合わず、聖域の中心、アテネ像を守るものは誰もいない。そう、誰もいないはずであった。異界次元(アナザー・ディメンション)が炸裂するまでは。〈例え 咎人と誹られ 死して猶 蔑まれようとも それで幾多の命の未来を造れるのならば 恐れるものなど何もない!!!〉。『聖闘士星矢』本編前半において、最重要人物でありながら、あまり振わなかった双子座(ジェミニ)のサガ大活躍の巻である。サガのその後の運命を知っている、多くの読者にしてみれば、あるいは最大の魅せ場といえるかもしれない。その、自分の心の弱さを殺せず、苦悩しながらも、人々を救うため、あえて悪を引き受ける姿に、震える。また、それに符合して、この巻の冒頭にポセイドンとカノンの邂逅が描かれているあたりも、本編を知るものにとっては、憎い演出である。そうした善(正義)と悪のような二項対立に基づくネガティヴな因子は、この『EPISODE.G』の主人公であるアイオリアの立ち位置をも射程に入れたものである。異端であるがゆえに、孤絶し、愛情に飢えるけれども、平和を守る聖闘士としての規律が、感情を束縛する。戦いの最中、クロノスはアイオリアに向かって言った。〈お前の小宇宙(コスモ)は苦しみと悲しみの「陰」から生まれている――〉。だがアイオリアは信念を曲げない。自らを哀れまない。ズタズタになっても立ち上がる。〈死なねぇよ・・・こんな時の為に生きてきたんだ……オレの牙が・・・全てを守る為のもんだって証を立てる!!!〉。ごめん、ここで泣いた。だって、かっこういいだろう。伊達にエクスクラメーションマークを乱発していないのである。報いや救いはなくとも、ただ未来の明るさを信じることが、その身を支え続ける。〈闘いの中にあるのは何かを殺す事だけではないよ〉。生きるということが、ときに悲しいのは、その悲しみを乗り越えることが、同時に生きるということでもあるからなのではないか。その先に希望は、ある。アイオリアのコスモが燃え上がる。黒雲は消え去った。しかし神は人に不可能をつきつける。戦いは終わらない。つづく。

 6巻についての文章→こちら
 5巻についての文章→こちら
posted by もりた | Comment(0) | TrackBack(1) | マンガ。
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Vol.542 聖闘士星矢EPISODE・G 8巻
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