
米ユタ州セントジョージ出身の5人組、IN:AVIATEのファースト・フル・アルバム『1985』で聴くことのできるサウンドを、おおまかに要約すれば、INCUBUSやMARS VOLTA以降におけるエモ世代のアメリカン・ハード・ロック、といったところであろうか。CIRCA SURVIVEやMINUS THE BEARのファンはどうぞ、的なステッカーがパッケージには貼られているが、それらのバンドに比べると、もうちょいダイナミックにドライヴしており、楽曲もコマーシャルにまとまっている。ある程度の複雑な展開をこなす演奏を、プログレッシヴと解釈することも可能だろうけど、いやむしろ、そもそもは奇形をねらったミクスチャー・ロックやポスト・ハードコアの形態が、今やスタンダードでさえある時代だからこその折衷案とも思われ、そのようなアプローチからINCUBUSやMARS VOLTAのアイノコ的なニュアンスをつよく感じられたりもするのだった。またハイ・テンションかつハイ・キーでメロディアスなフレーズを追うヴォーカルが、ときおりウェットに傾く個所には、どこかMAROON 5を彷彿とさせるものがある。激しさを増して盛るパートも叙情性を高めてしなるパートも合わせ、きわめてウェルメイドなつくりとなっているが、しかしそれが悪くないのは、なにか一つが突き抜けていくインパクトではなく、総体的なバランスがたいへんすぐれているためである。ちょうど痒いあたりに手が届く、というか。決して奇をてらったところのないすべてが、とても気持ちよく、かっこうがよく決まっている。
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