ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2008年10月18日
 真島ヒロに先立ち、ヤンキー・マンガを描かない(描けない)ヤンキー・マンガ家としての路線を確立したのは安西信行であるが、真島が田中宏からの影響がつよいのに対し、安西の場合、吉田聡からのそれが顕著であるのは、世代の差であろうか。いずれにせよ、完全ファンタジー指向の前作『MAR』では、あまり発揮されることのなかった(初期)吉田聡的なイディオムを、ひさびさに、ふんだんに用い、描かれているのが、野坂恒との共作『MIXIM☆11(ミクシム・イレブン)』であって、二人の役割分担がどうなっているのかは知らないけれども、やはり、こういう賑やかな学園ものは、安西の持ち味であると思うし、読んでいて、無邪気にたのしい。ケンカ上等を地でいく祭壱松と、オタクでゲーマーでメタラーの参宮橋竹蔵、そして頭脳は明晰だがチャイルディッシュな春野小梅の三人は、まったく女の子から好かれず、すこし寂しい高校生活を送っている。しかしどうして彼らはこうももてないのか。じつは異星人であり、北極星の王位継承者であり、選ばれた12人の妃候補としか、恋愛ができないよう魔法をかけられているためであった。とはいえ、三人のうち、真の王位継承者は一人のみで、残りの二人は、たまたま運悪く、もてなかったにすぎないのだが、もちろん、現段階では誰が真の王位継承者なのかは、明かされてはいない。こうした条件のなか、壱松と竹蔵と小梅は、まあ適度に運命を受け入れながら、あかるい青春を目指し、奮闘していく。と、最初に(初期)吉田聡的なイディオムと述べたけれど、それはつまり旧き良き時代のラヴ・コメディの要素を、わずかならず含むものでもある。別世界から異者(エイリアン)がやって来てくることによって、物語の幕が開くなど、じつに正統的で伝統的かつ古典的な手法だろう。むしろ、期限付きのモラトリアム下において、繰り広げられるどたばた、主人公の少年たちの積極性と能動性や、それに基づくテンポの良さに、(初期)吉田聡を意識させるニュアンスがある。言い換えるならば、男の子をどうしようもなく男の子らしく、かっこうよく描きたい欲望が垣間見られる。連載で追っていると、いかんせん一話分のページ数がすくなく、物足りない部分もあるが、そのページ数のすくなさが逆に、バトル展開になりそうなあたりで、そうはなっていかない方向に作品を引き止めているのかな、と考えられたりもする、今のところ。
posted by もりた | Comment(0) | TrackBack(0) | マンガ(08年)
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