ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2005年12月18日
 Love Many, Trust Few

 髪をあげて、アコースティック・ギターを手にうたわれるのは、まるで漢(おとこ)の背中が魅せる、豊かな表情なのであった。90年代にはワイルド・アンド・ワンダフルで鳴らしたイギリスのバンド、ジ・オールマイティ(THE ALMIGHTY)の中心人物リッキー・ウォーウィック(リッキー・ウォリック、RICKY WARWICK)による、ソロ・アルバム第2弾である。何よりもまず『LOVE MANY TRUST FEW』というタイトルが、愛するものはたくさんあるが、頼れるべきはすこしだけといったところだろうか、渋く、決まっている。そうした実直な言い切りを反映したかのような、素朴であることが、演奏の、骨の部分を為し、肉づきは、たゆたうメロディをつかみ取る、強い握力によって、引き締めらた、うるささのない、シンプルでホットな内容となっている。02年の前作『TATTO & ALIBIS(タトゥーズ・アンド・アリバイズ)』同様、ジョー・エリオット(デフ・レパード)とローナン・マクヒューが、全面的なバック・アップにあたっているようだ。当然、サウンドのほうも前作の路線を引き継いだ、アメリカのアーシーなシンガー・ソングライター系を踏み台に、ハード・ロック的にクリアな音像を使うが、極力派手になることを避けつつ、ヴォーカルとアコースティカルな響きがガイドとなって全体を引っ張る、かくしてドライであることをウェットに表現したものである。個人的に『TATTO & ALIBIS』の、アット・ホームすぎる空気は、ヘヴィでアグレッシヴだったオールマイティ時代の反動でしかなく、そのリラックスしきったムードにリタイアの印象を覚えたものだが、もちろんそれは僕の狭量な受け取り方のせいであるのかもだけれども、これはといえば、おお、熱かった、ぐっときた、心を動かされたのであった。数曲でソロを弾いているヴィヴィアン・キャンベル(デフ・レパード)のギターを含め、総体的にエレクトリックの比重が増えたというのもあるのだろうが、それよりも歌が格段にうまくなっている、声の震わし方に説得力が備わり、ヘタったところがなく、強弱の「強」の部分が「弱」の部分を際立たせるエモーションとなって、じつに聴かせる。男前の度数があがっている。続いていく人生の最中に、壮年期の堂々たる佇まいだろう。こういうところを見せられると、歳を重ねるごとに得るものはあるな、と思う。ストーリー・テリングの調子でゆったりとフレーズを連ねる6曲目「COMBACK TO HOME」と、小気味よいリズムで颯爽としたステップを踏ませる12曲目「RICH KIDS」における、フィドルの配置は、対称的であるけれども、ともに効果的であり、アーティスト当人がアイルランドの生まれであることを思い出させる、明示に違いない。けっして現代のシーンに深く関与するものではないが、96年オールマイティ『JUST AD LIFE(ジャスト・アド・ライフ)』以降のキャリアのなかでは、もっとも良い作品である。

 アーティストのオフィシャル・サイト→こちら
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