ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2008年09月30日
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 今日におけるヤンキー・マンガ群が、ときおり作中に採用するポエム、あれはおそらく、不良にも内面があるんだよ、という表現であろう。だからか、モノローグの枠組みを借り、読み手に向けて、あるいは作中人物に向けて、告白のかたちをとっているケースが多い。しかし驚くべきなのは、90年代に発表されたヤンキー・マンガの有名作に、そういった形式を大々的に用いたものは、ほとんど見かけられないことだ。すくなくとも現在ほど長口上で、さらには数ページを費やすパターンはレアである。つまりは、00年代に入ってから、ジャンル内で主流化したのだとさえいえる。とりあえず、少女の表情と心理描写ふうの風景イラストにポエムをミックスするという、80年代に一部で流行ったポエミー(イラスト・ポエム)の文化を、少女マンガのクライマックスだけを取り出していると指摘したのは、たしか大塚英志だったが、むしろ現在のヤンキー・マンガがやっているのは、それの反転的な導入に近しい、すなわちクライマックスにあたる箇所に、ケンカや暴力の描写ではなく、少女性抜きのポエムをつらつら書き添えることのように思われる。こうした現象が進歩であるのか退行であるのか、いずれにせよ判断は微妙だが、個人的にはあまりおもしろく感じられない旨は、過去にも述べてきた。『ヤングチャンピオン漢(オトコ)』Vol.1に掲載されている『クローズ外伝 リンダリンダ―野良犬―』は、ゆうはじめが高橋ヒロシの『クローズ』から設定と登場人物を借りてきたシリーズの第二弾で、やはり以前のエピソードと同じく、作中にポエムめいた告白のモノローグが採用されているわけだけれども、しかし今回は、その語りがうぜえ、ということもなく、印象も決して悪くない。これは、たぶん、作品の構成力が、いくぶんか上がっているためである。何はともあれ、しみったれたポエムが、物語の概要もしくはテーマないしメッセージを、ぜんぶ代弁してしまわない。中学生でありながらも、ケンカの強さで名を知られるリンダマンと、そのツレの圭一を、応華中学の「蟻の軍団」が付け狙う。ちょうど同じ頃、雄太という気弱そうな少年が彼らに接触してき、圭一は好感を抱く。が、じつは雄太こそが「蟻の軍団」のトップであった。端的にいって、バトルとアクションが派手で、良い。そうして、自らを野良犬に喩えて憂鬱をのたまう雄太が、孤独を寡黙に背負うリンダマンに一蹴される場面へ、カタルシスを持ってきている。また、高橋ヒロシのフォロワーがあふれるシーンにおいて、できうるかぎり影響圏から逃れようとしている作風を評価したく、作中人物たちがスタイリッシュに躍動する姿は、どこか上條淳士の『赤×黒』を彷彿とさせる。

 『クローズ外伝 リンダリンダ』
  後編について→こちら
  前編について→こちら
posted by もりた | Comment(0) | TrackBack(0) | マンガ(08年)
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