ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2008年09月16日
 Old Wounds

 ああ、やだやだ。世界中が憎たらしく空しく感じられるようなとき、何もかもを轟音でシャット・ダウンしたくなる。しかし、めいっぱいフラストレイトした気分と十分に渡り合うだけのものはなかなかなあ。いっそのこと死ねちゃえばいいのに。うるせえ、おまえが死ね。愚痴愚痴しいのはここまでだ。それにしても、いかしているのはYOUNG WIDOWSである。アメリカはケンタッキー州ルイヴィル出身のトリオが、06年に発表したファースト・アルバム『SETTLE DOWN CITY』は、不機嫌な興奮を満載した、ふてぶてしく頼もしい内容であったけれど、このセカンド・アルバムとなる『OLD WOUNDS』も当然、いやかなり、荒くれている。前身であるBREATHER RESISTの頃より籍を置いていた古巣JADE TREEを離れ、よりわかりやすくポスト・ハードコア、ポスト・ロック向きのレーベルTEMPORARY RESIDENCEに移ったが、洗練なんぞ知ったこっちゃないよ、と言わんばかりの殺伐さ加減は、目減りしていない。白々しい技巧をぎざぎざなフォルムに切断し、その演奏がひずみ、割れてきそうなほど、ノイズのヴォリュームをあげる。カート・バーロウ(CONVERGE)の、あの、素材に関係のないワン・パターンなプロデュースも、今回はうまく生きている。ロー・ファイでざらざらとしたところがよく出ている。だが驚くべきなのは、ギター、ベース、ドラムによるコンビネーションの、アンバランスなさまが完璧なバランスの上に成り立っている、あるいは見事なぐらいのバランスをアンバランスに成り立たせていることだろう。ぶっちゃけて、カタルシスという一点においては、『SETTLE DOWN CITY』のほうが何倍もすぐれていた。ねじ伏せ、有無を許さぬ鉄腕ぶりから、『OLD WOUNDS』は数歩身を引いている。じっさい、アルバムの大半は、ジャンクなブルーズと喩えてもいい、スローに、ヘヴィに、黒く塗りつぶされたナンバーに占められている。暗く荒涼としたグルーヴは、不吉そのものですらある。もちろん、部分的にだがダイナミックにうねる箇所はいくつもある。しかし、テンションが、どかん、と爆発した瞬間止まらない感覚は、はやくて5曲目の「LUCKY AND HARDHEADED」を待たなければならない。もっともスピードが出ている8曲目の「DELAY YOUR PRESSURE」でさえ、半ばまでいくと極端にテンポを落とし、ドゥームめく。ずるずる、すり足の進行をとる。ただし、だからといって怠くてかなわない、ということもない。全体に、ひりひりとした肌触りの空気が満ちている。そして一音一音は、鋼を鍛えるハンマーのごとく、硬い。それらが複雑な化学反応を起こし、一種独特なスリル、気づかず神経を持っていかれるような緊張を運んでくる。なかでもラストを飾る11曲目の「SWAMPED AND AGITATED」が、すばらしくかっこういい。締め括りに相応しい。まるでTHE JON SPENCER BLUES EXPLOSIONとJESUS LIZARDとHELMETとが三つ巴の協奏を繰り広げているみたいな、ハードヒットのインパクトをぶちかます。勢いに押され、駆り立てられるものがある。ああ、そうだったな。腹の底からぐっとくる、この感じが大事なのだ、と思う。

 『SETTLE DOWN CITY』について→こちら

 バンドのオフィシャル・サイト→こちら
posted by もりた | Comment(0) | TrackBack(0) | 音楽(08年)
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