ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2008年09月11日
 なにわ友あれ 5 (5) (ヤングマガジンコミックス)

 どんな時代にもさあ、女性を集団で強姦するような、クソみたいな連中はいやがるんだからな、吐き気がする。90年(平成二年)を舞台とする南勝久の『なにわ友あれ』は、ベンキというクズ野郎の登場を期とし、おそらくは89年の女子高生コンクリート詰め殺人事件を残響に、03年のスーパーフリー事件や、あるいはもっと近年に起きた実在の婦女暴行事件を射程に入れ、物語が展開されているふうな印象を受ける。法律がフォローできる領域に、はたしてすべての罪と罰を回収できうるものか。できないとしたら、では、そこからこぼれ落ちたものは何によって裁かれるのか。あるいは、法律とはまたすこし違うレイヤーで、ルールやモラルが立てられるべきなのではないか。こうした問題が、走り屋という一種のアウトローを用い、描かれているとの感じを持つのである。

 新興の自チーム、スパーキーの名をあげるため、次なる標的を探すグッさんたちは、はからずもエニシングとビートの対立に介入することとなる。ビートに追い込まれたエニシングのベンキという男が、過去に強姦した女性を次々と脅し、食い物にし、逃げ回っていることを知り、被害拡大の一端はビートの過失でもあると、その会長であるマンジに直談判する。結果、ベンキをめぐり、スパーキーとビートの共同包囲網が敷かれるのであった。

 以上がこの5巻のあらすじで、〈な――グッさん…こういうのって警察に言うべきちがうか‥‥?〉とツレのサトシに尋ねられ、〈俺もそう思ったけど――‥‥〉と答えるグッさんの言葉に、スパーキーとビートの、おおよその行動原理が示されているといえよう。〈仮にA地点からB地点まで(略)パトカーがサイレン鳴らして走ったところで――まあ15分くらいやろ せやけど 俺ら環状の連中やったら‥‥10分かからんやろ? 速い奴やったら5〜6分で行ける! 別に大ゲサな話やない…そんだけムチャできるって事実や〉、そして〈それに 当の女らが警察には言いたがらん! 仮にベンキがポリに捕まったとして――‥‥何年かしたらまた出てきて同じコトしよる! そんな病気みたいな奴は誰かがシメらんとアカンねや!〉と、つまり、ベンキが犯した罪は、OSAKA-KANJO-TRIBEという副題にあるとおりの、ある程度の半径内におけるトライブの問題へと集約されているのである。極端にいうなら、トライブの異常事態が、もしも何かしらかの被害者を出したとすれば、その責任はトライブ全体が負わなければならない、という態度であろう。むろん、異常と正常の区別もつかないようなトライブは破滅しなければならない。

 ところで、グッさんが強姦などの女性に対する暴力に対し、やたらシリアスな姿勢をとるのは、たぶん、『なにわ友あれ』の前身である『ナニワトモアレ』の結末によっている。以前にも述べたが、『ナニワトモアレ』のグッさんは、過去に強姦されたことのある恋人が、そのときの犯人に脅されているのを伏せようとし、元カレを頼ったため、寝取られてしまうという、ギャルゲーに喩えたら、完全にバッド・エンドを迎えている。しかし当然、それでグッさんの人生は終わったわけではなく、いくつかの教訓を得、『なにわ友あれ』ではトライブの一角を担うぐらいの役をこなしている。すくなくともベンキ包囲網は、グッさんなしでは成り立たなかったに違いない。

 しかし窮鼠猫を噛む。ヤエという女性を引っ張ったまま、ベンキは、やはり人間性の腐った野郎らと合流する。何ら罪の意識もなく、制裁を加えようとする面々を迎え撃とうとする。

 4巻について→こちら
 1巻について→こちら 
posted by もりた | Comment(0) | TrackBack(0) | マンガ(08年)
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