ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2005年12月11日
 いっぽん! 8 (8)

 要するに、男の子には意地があんだよって、そういうことだ。この巻の燃え具合は尋常じゃない。焦げる。ずばりハイライトである。酒高VS黒羽高、インターハイ県大会決勝、両者ともに譲らず、ついに代表戦へともつれこむ。黒羽チームの覚悟と責任を負い、選ばれたのは主将の大嶋であった。対する酒高は、負傷者の多いなか、元気いっぱいの春が立つ。剥きだしの闘志でもって大嶋に臨む春であったが、経験の重たさと殺気をまとう大嶋の強さの前に、いいところまでいくが、しかし一歩及ばない。及ばないながらも、折れない心でもって戦う。戦い続ける。いくら春のスタミナを削っても、スピードが殺されないことに、大嶋は、その力を認める。だが、限界は近づいていた。そのとき、客席からかかる声があった。〈いつからそんなヒヨった柔道するようになった!!〉。春の恩師で、かつて天才と呼ばれながらも、ながらく姿を消していた、新井である。その叱咤に背中を押されるようにして、その日最高の鋭さで背負いに入る春。会場の誰もが、決まった、と確信する。しかし。〈ヤルかヤラレルか…その単純ながら窮極の緊張と覚悟の中で 大嶋の研ぎ澄まされた集中力は春の背負いの上をいった〉。生きるか死ぬかのレベルで繰り広げられる勝負に、心が震えなかったら嘘だろう。命をベットしまくり、掛け金を上げてゆく春の無茶は、けっして褒められたものではない。たかが柔道じゃねえか。泣き所は、万策尽き、余力のなくなった春が、それでも遠くを見つめる視線でもって、かろうじて立ち上がる場面である。涙を堪えきれず、チームメイトが必死に咎める。〈何でそこまですんだよ! たかが柔道だろう!!? お前死んじゃうぞ!!!〉。でも、春はにっこりと笑って、こう答えるだろう。〈俺には柔道しかねーもんよ…〉。ここである。ここで僕は、うわーん、ってなってしまったのだった。よくわかんねえんだけどさあ、男の子にはきっと、男の子だけが使える魔法があるんじゃねえかな、と思う。そのワンダーに魅せられたら、おまえ、どんな言い訳もクソだって感じるに違いないぜ。自分だけを大事に可愛がるような、くだらねえ自意識なんて、ふっ飛ぶ。

 7巻について→こちら
 6巻について→こちら
 4巻について→こちら
posted by もりた | Comment(0) | TrackBack(0) | マンガ。
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