ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2008年07月26日
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 すごいたのしい。好き。とても好きである。咲坂伊緒の『ストロボ・エッジ』もいよいよ3巻になるが、おそらくは当初に予定されていたよりも長くなってきている話のなかで、まさかここまでおもしろくなるとは思わなかったな。ユーモアや絵柄のセンスも含め、作風はじつに今どきな面もあるけれど、同系統といえる他のマンガ家に比べ、完全にアタマ一個ぶん抜きんでたクオリティと存在感がある。キープされている。どころか、ますます磨きがかかりつつある。そうしてそこからは鮮やかな印象がこぼれ出す。蓮への恋心が実ることはないが〈せめて友達のままでいて欲しい〉、それ以上のことは望むまいとする仁菜子に、もてっ気抜群のイケメンさん安堂がどうやらまじではまってしまったようだぞ、というのが前巻からの流れで、これ自体も別段珍しい展開ではないだろう。しかし、それがなぜか、片時も目の離せないほど、わくわくとした気持ちを連れてくる。その原動力となっているのは、もちろん、ヒロインである仁菜子の一途さにほかならない。が、もうひとつ、三角関係のジレンマが、つねに存在するだけではなく、繰り返し新陳代謝を果たすことで、ストーリーのうちに次々と盛り上がりがつくられている点に、着目しておきたい。振り返るなら、1巻の頃にトライアングルを為していたのは蓮、仁菜子、そして仁菜子の幼馴染みである大樹の三者であった。それが2巻では、仁菜子、蓮、そして大樹の姉で連の恋人の麻由香の三者間の問題にスライドする。そして、先ほども述べたけれども、この3巻では、蓮と仁菜子と安堂の三人によるトライアングルが、全体の中心にきている。こうした新陳代謝を重ねることによって、物語内部の空気が、停滞することも澱むこともなく、きれいに入れ替わっている。ここで注意しておかなければならないのは、それはあくまでも作者レベル、読み手レベルにおいて実感されることであり、作中から大樹や麻由香の存在が消え去っているというのではない。まあ、大樹が本筋に絡む機会はずいぶんと減ったが、しかし、ワキを支える重要な人物であることに変わりはなく、蓮と麻由香の間が磐石であることが、やはり、仁菜子の恋をうまく立ちいかなくさせている。想うだけでいい。ささやかでしかない願いが、どうしてこうもせつなく、苦しみの種を蒔くのか。〈蓮にカノジョがいる以上 何も望んじゃダメなんだよ そういうものの限界を 仁菜子ちゃんは分かってない このままじゃ辛くなるだけだよ〉と言うのに乗じて、安堂は自分の気持ちを仁菜子に伝える。あきらかに噛ませ犬くさい役であるけれど、仁菜子はこれにどう答えるんだろ、また冗談だと思うのかな、いや、さすがにそれはないか、はやくも続きが気になるところである。

 2巻について→こちら
 1巻について→こちら

・その他咲坂伊緒に関する文章
 『マスカラ ブルース』について→こちら
 『BLUE』について→こちら
 『GATE OF PLANET』について→こちら
posted by もりた | Comment(0) | TrackBack(0) | マンガ(08年)
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