ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2008年07月21日
 立原あゆみの『恋愛(いたずら)』は、ラブ・ホテル街のど真ん中に位置するバー「いたずら」を訪れた男女のもつれをオムニバス形式で描くのと並行し、そこの常連であるヤクザのジミーの意趣返しとでもいうべき闘争を長編型のストーリーで描く、と、つまりはそれら二つの歯車を一個の枠内で動かすことにより成り立っているマンガであるわけだけれども、このことがいったい何を意図しているのかは、ちょっと、こちら読み手の側からは見えにくいところがある。が、2巻に収められている11話目(作品上の表記では十一曲目となる)「夢ん中」では、復讐を諦められない、といった一点において、双方の歯車ががっちり噛み合い、なかなかに興味深い印象を導き出している。喪われた人間を想う復讐を今生きている人間のために踏み止まれるか、これが「いたずら」を訪れたとあるカップルの別れに投影されている。その背景で、ジミーの復讐がエスカレートしていく。ジミーは、自分を慕ってくれる子分たちを堅気に戻してやりたいと思う、殺された兄貴分の女房を平穏に暮らさせてやりたいと思う、自分の女房をこれから起こることに巻き込みたくないと思う、だが、復讐をナシにすることはできない。そういう悲壮な決意が、11話目のオムニバス・パートを置くことで、以降におけるジミーのパートに明瞭化されているのである。まあ、もちろんジミーの復讐劇は、立原の過去作『東京』や『弱虫』の焼き直しでしかない。しかし、今回のような形式をとることで、前とはまたすこしばかり異なったトーンを持たされるにいたっている、というのは、さすがにファンの贔屓目だろうか。

 1巻について→こちら

・その他立原あゆみに関する文章
 『本気!』文庫版
  4巻について→こちら
  3巻について→こちら
  1・2巻について→こちら
 『仁義S』
  6巻について→こちら
  5巻について→こちら
  4巻について→こちら 
  3巻について→こちら
 『極道の食卓』
  5巻について→こちら
  4巻について→こちら
  3巻について→こちら
  2巻について→こちら
  1巻について→こちら
 『ポリ公』2巻について→こちら
 『月の教室』について→こちら
 『喰人』1巻について→こちら
posted by もりた | Comment(0) | TrackBack(0) | マンガ(08年)
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