ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2005年12月06日
 ハードコア・スーパースター

 98年のデビュー作『IT'S ONLY ROCK N'ROLL』の、ハードチャージでパンキッシュな佇まいは、もはや望むべくもないが、しかし、ディスコグラフィを振り返ってみれば、あの勢いというのは、要するに、若気の至りみたいなものだったのかも、と納得する。かくしてハードコア・スーパースターが、セルフ・タイトルの通算5枚目にあたる本作『ハードコア・スーパースター』で到達したのは、完成度の高く、マイルドで、グッド・ヴァイブレーションなロックン・ロールなのであった。ヴィジュアルのイメージはじつにバッド・ボーイ風であるけれども、サウンドはといえば、ひじょうに行儀良く、丁寧に、まとまっている。ヴォーカルの声質のせいかもしれないが、ところどころで僕は、90年代に活躍したテスラというアメリカのハード・ロック・バンドを思い出してしまった。いや、6曲目の「ヘイトフル」における緩急のつけられ方や、バラード調の11曲目「スタンディン・オン・ヴァージ」でのアコースティカルでドラマティックな響きなどは、かなり近しいのではないだろうか。派手な押しではなくて、地力の強さによって、ハイなポジションに聴き手を持っていくよう、楽曲を展開させている。ソングライティングのスキルとプレイヤビリティの確かさ、それに参照項となるアーカイヴの充実が骨盤にあって、そこから全体の音が造型されている印象だ。総体のクオリティをみれば、ファン層がややかぶってそうな、バックチェリーやダークネスの新譜を凌ぐ内容となっている。8曲目「マイ・グッド・レピュテーション」の陽性なテンポとか、往年のモトリー・クルーを彷彿とさせ、たしかに気持ちがいい。いえい、やっほう、元気いっぱいに声を出せ。うずうずとして体を動かしたくなる盛りである。とはいえ、100パーセントの満足かどうかと尋ねられたならば、個人的には『IT'S ONLY ROCK N'ROLL』あたりの線がやっぱりジャストだったなあ、と思う。自意識を完全に吹っ飛ばす、ガッツとブギーが欲しいんだ、きっと。というか、それはこのバンドに限らず、90年代の終わりあたりに沸いた、北欧のロックン・ロール勢全般にいえることで、結局のところ出来不出来ではなくて、好みの問題になるとしても、モーターヘッドフルで阿呆みたいな一本気とパワーの失しられていることこそが、どこか物足りなく感じられるのだった。
posted by もりた | Comment(0) | TrackBack(0) | 音楽。
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