
だいたいのところカール・ラーソン(KARL LARSSON)こそが、ラスト・デイズ・オブ・エイプリル(LAST DAYS OF APRIL)というバンドの頭脳であり、声であり、タレントそのものなのであるから、はじめてのソロ・ワークであるこの『ペイル・アズ・ミルク(PALEAS MILK)』が、本体と大きく違える指向性を有しているはずもないのだけれど、いや、しかし作品全体から発せられるトーンは、もっとずっと軽やかで、あかるく、ときめきの色合いが強い。凝ったアレンジの極力抑えられ、プロダクションのシンプルに施されていることが、その大きな理由であると思うが、メロディというかフレーズのつくり自体も、ラスト・デイズ・オブ・エイプリルの、あの広く穏やかに流れるエモーションが進路の狭まったことで緊急性を増したかのような、そういう圧の過敏にかけられたものではなくて、リラックスした抑揚を行使しながら、透過率を高めたものになっている。もちろん歌唱も、それに基づいている。結果、センシティヴであったりロマンティックであったりする部分よりも、コンパクトにキュートでキャッチーな部分が前面に出た。たとえば2曲目「OFF THE CLIFF」のような心地よいギター・ポップは、ラスト・デイズ・オブ・エイプリルでは、なかなか成立しなかったナンバーだろう。そのことはアルバム『アセンド・トゥ・スターズ(ACEND TO STARS)』収録の「TOO CLOSE」あたりと聴き比べてみればわかる。テンポの刻まれ方は似ているが、コーラスの伸びやかさが、ちょうど明と暗のように、楽曲の表情をまったく異なった風に輝かせているみたいだ。ナイーヴさに押し潰されそうなところもあるが、屈折めいた印象はなく、とてもとても空気の澄み渡ったサウンドになっている。明け方の蒼さに君を想いながらうたう鼻歌。僕の心が愛しさで満たされた。
