ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2005年12月01日
 『小説すばる』12月号掲載。絲山秋子の連作シリーズ「ダーティ・ワーク」の第二話である。たぶん「sympaty for the devil」というのは、ローリング・ストーンズのトラックからとられている。しかし読みながら、なんだか舞城王太郎っぽいなあ、とくに『阿修羅ガール』みたいな語り口だ、などと考えていたのだが、じっさい作中に次のようにあるのを見て、なんだか、ああ、と思う。〈最近おもしろい本、読んだ? 麻子さんが言った。えーと。ほんとは舞城王太郎だったけど、中上健次と言った〉。事実として、絲山が舞城を読んでいるのか、あるいは、それをインスピレーションとしたのかはどうでもいいのであるけれども、この「sympaty for the devil」に限っては、あまり絲山の小説を堪能した、という感じのしなかったことが、ひどく残念ではある。とはいえ、内容自体は、けっして悪いものではない。〈四年もつきあえるってことは辰也と私は相性がいいのかもしれない。でも七割方惰性だ〉。饒舌な〈私〉の語りによって、家族を含めた周囲の人々との関係、そして日常の何気ない機微が、断片として切り出されている。〈私〉はいう。〈なんていうか、女の友情ってイコール共感だと思う。だよねー、思う思う、とか〉〈でも女って住んでる環境でがらっと世界が変わってしまう〉〈それに比べたら男友達の方がずっと楽ではあるけど〉〈全部が全部許し合えるってわけじゃない、やっぱり異性だから〉。そして〈私〉には7歳違いの兄がいるのだが、むしろ兄嫁である、ほんとうは赤の他人な麻子さんとのほうが仲が良い。そうした関わり合いを通じて、人と人、または主体と他者と言い換えてもよさそうだが、それらがどのような感情を経由して、連帯するのか、逆に切断されるのかが、具体的にではなくて、思いつきで書かれた雑記みたいに、さりげない体で述べられてゆくのだけれども、あ、なるほど、シンパシーか。

 「ダーティ・ワーク 第一話 worried about you」についての文章→こちら

・その他の絲山秋子に関する文章
 『ニート』については→こちら
 「ベル・エポック」については→こちら
 「へたれ」については→こちら
 「沖で待つ」については→こちら
 「ニート」「2+1」については→こちら
 『スモールトーク』については→こちら
 『逃亡くそわたけ』については→こちら
 「愛なんかいらねー」については→こちら
 『袋小路の男』については→こちら
 『海の仙人』については→こちら
 「アーリオ オーリオ」については→こちら
posted by もりた | Comment(0) | TrackBack(0) | 読書。
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