ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2013年06月21日
 デビルマンG 3 (チャンピオンREDコミックス)

 そもそも『バイオレンスジャック』の時点で次元の複数化が見られはじめた永井豪のブランドは、現在もなお出版社や作者、シリーズをまたぎながらそのシェアード・ワールドを拡大化しつつある。なかでも『デビルマン』のタイトルを冠したものは、過去の公式二次創作群(傑作も多く、個人的にはPCゲーム『ラストハルマゲドン』を思わせる井上大助の『デビルマン戦団(バトラー)』の続編を今でも待っている)もそうだし、先般1巻の出たTEAM MOON『デビルマン対闇の帝王』がそうであった通り、基本的には黙示録的なカタストロフを題材としているのだったが、高遠るいの『デビルマンG(グリモワール)』に関しては、いや確かに黙示録的なカタストロフをバック・グラウンドにしてはいるのだけれど、むしろスケベとギャグの部分に永井豪のイズム(もちろん、それは高遠自身の持ち味でもある)を大きく感じられた。ドジな魔女、マキムラミキ(魔鬼邑ミキ)が悪魔族の勇者アモンを不動アキラの犠牲によって召喚してしまい、人類の平和を守るべく、どたばたタッチの奮闘劇を繰り広げていくのだ。

 しかし、この3巻に入り、物語は新たなフェーズに突入する。オリジナル版のキー・パーソンである飛鳥了が登場せず、タイトルに象徴されているデビルマンの存在もまた確認されてこなかった作品である。『デビルマンG』における不動アキラは、オリジナル版の設定上、デビルマンではない。ホスト(宿主)であるアキラを乗っ取ったデーモンにほかならない。正義感に溢れたミキをサモナー(召喚者、接触者)としているため、彼女に協力せねばならず、同族への裏切りを含めた彼の行為は「デーモンハンター」でしかないのだった。では、『デビルマンG』とは決してデビルマンの出てこない『デビルマン』なのかと思っていたら、ついにデビルマンきた。けど、不動アキラじゃねえんだ。実写映画版の代名詞と化したあの〈ハッピーバースデイ………悪魔人間(デビルマン)!!!!〉のフレーズが引用され、あらぬ人物がデビルマンへの覚醒を遂げるというのがここでのクライマックスである。

 大きなところのみを挙げるなら、1巻では牧村(魔鬼邑)家への襲撃が。2巻では悪魔降臨のサバトが。原作のヴァージョンとは異なったかたちで再現されていたわけだけれど、3巻ではオリジナル版のラスト・シーンがリメイクされている。不動明と飛鳥了の最後の語らいである。だが、それは半ばギャグとして見られたいものであって、パロディの範疇に入る。既にいったように、『デビルマンG』に飛鳥了そのものは登場してきていない。おそらく了の父親に対応している人物は、雷沼教授のパートナーとして2巻であっさり死んでいる。前述の場面で了の代理を務めているのは水妖族のニクスなる悪魔だ。が、意外だったのは、飛鳥了は登場しないとしても、その正体である魔王サタンはストーリーに関与してき(カヴァーも飾っているしね)、はからずもデビルマンの生誕を引き起こしてしまうことであろう。デビルマンとは何か。〈悪魔族(デーモン)に憑依されても人の心を失うことなく 悪魔の力を持った人間として悪魔と戦う者!!〉という解答がそこで、不動アキラではなく、他の人物により宣誓されることとなる。

 それぞれの思惑とは別にニクスやシレーヌが、デーモンの襲来に対し、アモンと共闘するという展開はいいね。どの作者のヴァージョンでもクローズ・アップされがちなシレーヌはともかく、ぶらりと登場したニクスはてっきりコメディ・リリーフかと思っていたよ。それが少年マンガ的な意味で正しくライヴァルの役割を帯びていくのはなかなか。テンポの良い話運びは、近年永井自身とダイナミック・プロの名義で発表された『改訂版デビルマン』や『激マン!』のヴァージョンよりもオリジナル版に近い。
posted by もりた | Comment(0) | TrackBack(0) | マンガ(2013)