ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2012年01月05日
 ごくべん (ヤングキングコミックス)

 題名に「べん」と入っていたら、まあ弁当の「べん」というケースもあるにはあるのだったが、たいていは弁護士を題材にしていると考えていいわけで、オオイシヒロトの『ごくべん ―極道弁護士 豆柴トメオ―』もその例に漏れない。つまりは極道の「ごく」と弁護士の「べん」をかけて『ごくべん』になるのだけれど、おお、なんてわかりやすいんだ。無論、内容の方も題名を裏切っていない。非常にストレートでわかりやすいものである。

 カタギの世界で最弱と馬鹿にされる新人弁護士のトメオは、しかしヤクザの世界では小津組最狂の男として知られる青年であった。その彼が東京は下町を舞台に、弱きを助け強きを挫く、的な活躍を繰り広げていく。おそらくはこのような説明でほとんどを語れてしまうマンガだろう。

 たとえば、日向武史や佐藤秀峰、浅野いにお、等をミックスしたかのような絵柄と画面の作りは、ある意味で現代的だし、大変キャッチーだと思う。それが、古臭いともとれるストーリーとテーマを汲んでいる点に、作品の真面目さ、を見られたい一方、各個の展開が安直すぎるため、雰囲気だけが熱っぽい、のレベルを大きく越えてはいない。結局のところ、弁護士の資格は、主人公を正義としておくのに適した建て前、単なるエクスキューズにしかなっていないのであって、おおよその事件が武力解決されてしまうのは、いやそれを痛快だとすることは可能だとしても、練りの面からするとやはり拙い。

 勧善懲悪の結末は決して批判されるべきではないが、設定より深く述べられているものが少ないからか、読み手に対する説得が十分ではないように思われるのだ。連載が続いていたら、作中人物の立場にしろ、コンセプトにしろ、もう少し掘り下げた部分が出てきたのかもしれない。ラストのコマには第1部完と記されている。
posted by もりた | Comment(0) | TrackBack(1) | マンガ(2012)