ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2010年10月26日
 前巻、それまでに背負ってきた重荷のため、照と訣別しなければならなかった黒崎(DAISY)の告白は、いっさいが取り返しのつかない段階に入ってしまったことを教えるほどに、悲痛であった。そして照は、黒崎が兄の死に関与していたことを知ってしまい、また彼が何の弁解もせず自分の元を去ったことに対し、たいへんショックを受ける。以上のようなくだりを経、最富キョウスケの『電撃デイジー』はこの8巻で、過去の因縁を解き明かしながら、サスペンスの色合いを濃くしていくのだった。が、基本としては、精神の暗がりにはまってしまった青年をヒロインの懸命さがすくい上げようとする、という実に少女マンガのロマンスらしいコンセプトを踏襲しているのであって、物語上のエモーションもそこに由来しているといえる。おそらく二人が再会を果たすのは次巻以降であろう。ここでは〈何かあるのかな 私にできること… なんでかな むずかしいよ わかんない 私のお兄ちゃんを殺したと言って いなくなった人に 私は何を伝えたらいいんだろう またまちがえるくらいなら じっとしていたい… きっと私じゃなくったって 誰かが……〉と意を失しかけた照が、周囲の人びとの助けを得、立ち直り、兄と黒崎のあいだにいかなる繋がりがあったのかを理解、〈ねえ お兄ちゃん 私にはわかったよ お兄ちゃんは間違っていない 私これから黒崎のこと助けに行くよ〉ふたたび為すべきを取り戻すまでを描いている。回想型の展開が続き、いささかシリアスな調子を強めているのだけれども、そのような構成において支配的になっているのは、モノローグに乗せられたポエジーである。7巻では(黒崎の)携帯電話からのメールに顕著であったそれは、今巻では(兄の恋人であった理子の)照に真相を打ち明ける語り、(兄や黒崎の恩人であった緑川教授が)黒崎に残した手紙などに垣間見られる。もちろん、先に引いた照の心の声であるようなパートもしかりなのだが、しかしそれだけはまだ(読み手以外の)本来届けたい相手に達していないことが、ある種のせつなさとこれからのストーリーを呼び込む。

 7巻について→こちら
 2巻について→こちら
 1巻について→こちら
 
・その他最富キョウスケに関する文章
 『青春サバイバル』について→こちら
 『ペンギンプリンス』について→こちら
 『プリキュウ』について→こちら