ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2010年10月06日
 LIVE(初回限定盤)(DVD付) LIVE

 NEWS、通算4枚目となるフル・アルバム『LIVE』は、たいへん聴きどころの多い作品だと思う。反面、パンチの弱さのようなものをどこかしら感じてしまうのであったが、しかしそれこそがこのグループのカラーであったとすれば、正しくNEWSじるしの佳作にほかならない。無論、熱心なファンにしてみたら、これは必ずしも肯定的な意見とは受け取れないかもしれない。けれど、何を差し置いても、ポップスとしての強さ、そして勢いやノリに任せた姿勢で取り組まれては台無しになってしまうそれに対し、派手さではなく、地力の高さ、メンバー各人のポテンシャルとその総和をもって、見事に応えている。じんわりと胸に響いてくるようなエモーションを与えているのである。

 確かにアルバムは「恋のABO」のアッパーなディスコでペダルを踏む。タイトル・チューンでもある「LIVE」のファットなロックで大きな車輪が回り出す。そのほかにもジャニーズならではのきらきらしたシーンは多い。だが個人的には、いつかへの郷愁をミディアムに綴った5曲目の「秋の空」や、先立ってシングル・リリースされていた9曲目の「さくらガール」、ヒルクライムが楽曲を提供した12曲目の「内容の無い手紙」、初回限定盤においてはラスト・ナンバーとなる13曲目の「エンドレス・サマー」などの、等身大のイメージを生きているかのような楽曲にはっとするし、実際、そこで聴かれるヴォーカルの、まっすぐにまっすぐと伸び、あれだけ遠かった過去や未来にもじきに手が届いてしまいそうなしなやかさこそが、他のグループとの明らかな差別点になっている。

 いやいや、おまえは単純にヒロイズム(ソング・ライター)の関わったナンバーが好きなだけなんじゃねえか、と言われたら、ああ、まあ、そうだろうね。先に挙げたうち、「秋の空」「さくらガール」「エンドレス・サマー」の3曲に、作詞や作曲でヒロイズムのクレジットが入っている。嵐との仕事で知られる吉岡たくが、いかにもなアレンジをリズムに加えた8曲目の「ワンダーランド」だってヒロイズムの作であり、じつはそれも好きである。ただ、そうしてうかがえるのはNEWSというグループとヒロイズムが寄越した楽曲の相性の良さにほかならない。初期の頃はともかく、現在のNEWS、つまりはさまざまな経緯を得、次第に成熟をまといはじめた彼らにとって、ヒロイズムの手がけたセンチメンタル、損なわれたもののなかから黄昏を取り出し、後悔を希望に変えていく素振り、前向きであろうとする印象のメロディを、メンバーが達者にリレーし、熱っぽく、ユニゾンのコーラスへと結びつけていく様子は、それだけでもう十分な個性になりえているのだ。

 けだし「エンドレス・サマー」は出色であろう。バンド・サウンドの後ろにストリングスを置いたさわやかなポップスである。やはりヒロイズムが作曲、前作『color』のハイライトを飾った「FLY AGAIN」に通じる感動を持っているが、バラード・タイプのそれとは違い、アップ・テンポな響きをたたえているところが、とくに好ましい。そりゃあ、かつては〈はみだしたまま・生きていけると・大袈裟に言ってみたけど・大胆なほど未来はすぐに変わらなかった〉のであって〈追いかけるたびに遠ざかってく・虹のようなあの日々は・輝きだけを胸に残し・終わりを告げた〉のだったが〈まだ夢に夢見た季節がここにあるから・僕らは行くよ・もう一度輝く自分を探す旅〉に出るのは〈やがて僕らがありふれた大人になっても・扉はいつも・きっと・あの夏に繋がっているから〉なのだと、こういう心象はおそらく、誰のなかにも小さく燻り、あるいは眠り続け、起こされるときを待っている。それをやさしくキックし、たとえめいっぱいの努力が挫折や敗北にしか行き着かなかったとしても決して無駄じゃない、無駄じゃないんだぞ、思わず明言したくなるぐらいの勇気を与えてくれる。

 ヒロイズムのソング・ライティング以外では、すでに述べたとおり、「内容の無い手紙」が、いや、まんまヒルクライムじゃんね、これ、ではあるものの、パート分けされたラップ調のフレーズにおいて、各人の歌唱スタイルが如実となっており、存外、個人戦の様相を呈している。そこに強い強いフックを求められるのが良い。そしてもう一つ、NEWSやテゴマスの諸作と縁深いzoppが作詞、11曲目の「D.T.F」にも名前を見つけられる大智が作曲を担当した6曲目の「2人/130000000の奇跡」を、『LIVE』のハイライトとして挙げたい。ハードなギターの鳴り渡るナンバーなのだけれども、基調をなしているのは明るく跳ねたキーボードの旋律である。疾走感がある。せつなさが駆ける。次のようなキャッチーなリフレインに、破れてもなお瑞々しい恋心が宿る。〈2人/130000000の奇跡・なのに・こんなにも簡単なの・「ずっと一緒にいようね」って・君は笑ってた・じゃあなんでさ・こんなにも胸が痛い・もう壊れちゃいそうだ・I want you I need you I miss you My love・Forget you Good-bye? I don't wanna do it〉

 それにしても通常盤の14曲目に収められた「share」は、メンバー6人が作詞作曲したナンバーで、すでにファンのあいだでは知られ、待ちに待ったスタジオ・ヴァージョンには違いないのだったが、端整なディレクションによって親しみがこぼれ落ちるほどの臨場感が制御され、あくまでも「恋のABO」のシングルで聴かれるライヴ・ヴァージョンに比べてしまうから、の話になるのだけれども、カタルシスの部分に弱さが出てしまっているのを少々残念に思う。

・その他NEWSに関する文章
 「さくらガール」について→こちら
 「恋のABO」について→こちら
 『color』について→こちら

 コンサート『LIVE!LIVE!LIVE!NEWS DOMEPARTY』(2010年9月28日・東京ドーム)について→こちら
 コンサート『NEWS WINTER PARTY DIAMOND』(2008年12月30日・東京ドーム)について→こちら

 テゴマス・コンサート『テゴマス1stライブ テゴマスのうた』(2009年8月5日・国立代々木競技場第一体育館)について→こちら
posted by もりた | Comment(0) | TrackBack(0) | 音楽(2010年)